永遠の大名盤『MADE IN JAPAN』。そのプロショット映像をフィーチュアしたチュ名作ドキュメンタリーがリリース決定です。そんな本作の正体は、2014年にリリースされた『MADE IN JAPAN』のBOXセット・エディションのために制作されたドキュメンタリー“THE RISE OF DEEP PURPLE MK II”。長いPURPLE史の中でも『MACHINE HEAD』と『MADE IN JAPAN』にフォーカスされたヒストリー物で、激レアな映像と関係者の濃厚なコメントで凡百のドキュメンタリーとは一線を画した大傑作でした。特に強烈だったのは『MADE IN JAPAN』の舞台となった「1972年8月17日:日本武道館」公演の映像が収められていたこと。あの歴史的名盤の“向こう側”が動くというとんでもない体験が実現し、全世界に衝撃が走りました。まさに衝撃の映像作だけに高価なBOXセットだけに留まらず、単体でのDVDもリリース。多くのファンが目にすることもできました。本作は、その公式品のコピー。。。ではありません。実は、この映像は単品化される前だった2015年2月に某衛星放送局から放映。本作は、その特番“ディープ・パープル ドキュメンタリー:Made in Japan”なのです。放送枠は1時間のため、公式DVDに収録されたボーナス映像の類はありませんが、本編ドキュメンタリーはフル収録。もちろん、2015年ですから放送も録画も完全デジタルで、劣化ナシでDVD化しております。そして、要なのが日本語字幕。ドキュメンタリーだけにコメント内容がビビッドに伝わるかどうかが重大事なわけで、公式DVDであっても輸入盤では事足りない。もちろん、本作は日本放送ですから番組独自の字幕によって完璧に理解できるのです。さて、そんなクオリティ&字幕で描かれる本作ですが、これがもう凄い。冒頭から第II期PURPLEの終演宣言となったギランのメッセージから始まりますし、空港に到着するメンバーの姿や当時のパスポート、初来日のオフショット、暴動で破壊された日本武道館などなど……目も眩む貴重映像が猛ラッシュ。もちろん、お馴染みのTVプロショットなども多数あるのですが、そうした映像も悉く過去最高クオリティ。「大元はこんなに綺麗だったのか」と驚く映像美がたっぷりと使用されているのです。内容は第I期から始まり、第II期へのメンバーチェンジ、『IN ROCK』でのブレイク……と時代を追っていきますが、あくまでも駆け足。主役となる『MACHINE HEAD』と『MADE IN JAPAN』の2枚に最大限の尺が割かれています。そして、ここからが濃厚。『MACHINE HEAD』を録音するためのスタジオ選びから徹底的に追っていき、なぜモントルーへとたどり着いたかも詳細に語られる(当時の契約事情まで話すディープぶりです)。こう書くと退屈そうに思われますが、そうではない。モントルーでは「観たいコンサートがあるんだ。DEEP PURPLEさ」と語るフランクザッパが登場し、“モントルー・ジャズ・フェス”やライヴシーンも(超極上クオリティで)描かれる。そして、ここで衝撃なのは「Smoke On The Water」の歌詞にも描かれているモントルー・カジノの火事! “1971年12月4日”に起きた火事の現場が(写真ではなく)映像で映し出され、目の目でカジノが燃えさかっている。しかも、当時の関係者も混乱ぶりを語り、ザッパも「King Kongをはじめたとき、火事に気がついて演奏を止めた。ステージの後方に窓があった。地面までは2メートルくらいかな」と生々しく証言していくのです。あの伝説の現場を極上クオリティの映像で観られるとは……。その後も『MACHINE HEAD』製作秘話の数々が明かされ、話はいよいよ『MADE IN JAPAN』へ。モノクロ映像に『MADE IN JAPAN』音声がシンクロされ、歴史的名盤が動き出す……。残念ながら映像は細切れのフィルム撮影なのですが、編集が巧みなために物足りなさは皆無。貴重極まるライヴ・シーンの合間合間にメンバーのコメントが挟まり、バックには『MADE IN JAPAN』が鳴り続ける。スリリングな演奏を観ているだけでテンションが上がる上に、語られるコメントも濃厚。これまで頭に詰め込んできたトリビアがメンバーの言葉で繋がっていき、光景も相まって頭の中に「1972年の8月」が再現されていく。歓声と理性が同時に刺激され、能の処理機能を振り切ってしまいそうなドキュメンタリーなのです。その後もメンバーの確執や脱退劇の裏側(フィル・ライノットとのBABY FACE構想も出てきます)がメンバー各人の視点で詳細に明かされ、METALLICAやブルース・ディッキンソン、ジョー・サトリアーニ等々の後輩たちもDEEP PURPLEの凄みを熱心に語るのです。破壊された日本武道館の光景に、糸居五郎氏による伝説のMCが流れて幕を閉じる本作。まったくもって1秒のスキもない。初来日の武道館映像が衝撃ではありますが、それだけではない。隅から隅まで作り込まれ、メンバーの一言一言が興味深い。とにかく貴重度も完成度もズバ抜けた、PURPLEドキュメンタリーの最高傑作です。『MADE IN JAPAN』ボックスや公式DVDをお持ちの方にはコレクション的な1枚ですが、まだ未見の方には最大級の衝撃をお約束する超傑作。 Broadcast Date: 11th February 2015 1. Intro 2. Deep Purple Mark I 3. In Rock 4. Fireball 5. Montreux Casino 6. Frank Zappa 7. Machine Head 8. Tokyo 17th August 1972 9. Highway Star 10. Space Truckin' 11. Ian Gillan left 12. Roger Glover left 13. Glenn Hughes 14. Strange Kind Of Woman 15. Woman From Tokyo 16. Made In Japan 17. Smoke On The Water PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.59min.