本作のポイントはテレビ出演。“APPETITE FOR DESTRUCTION TOUR”のプロショットと言うと、超名盤『RITZ 1988 DEFINITIVE EDITION: 2020 REMASTER』を筆頭に、『RITZ 1987』やフィラデルフィア公演、メルボルン公演などの長尺映像が有名ですが、それだけでなくテレビ出演の短い映像も多数あります。本作は、その中でもクオリティの高い4番組4曲(+インタビュー)を特集したものなのです。それでは、1つずつご紹介しましょう。 【1988年3月31日:THE LATE SHOW】まず登場するのは、FOX TVの2曲。放送局スタジオに観客を入れた疑似コンサート・スタイルの「You're Crazy」「Used To Love Her」です。いきなり冒頭の「You're Crazy」でカクカクとした映像に「DVDが壊れた!?」と思われるかも知れませんが、ご安心を。もちろん、これは局側の演出処理。80年代にはよくあった手法ではありますが、今の目で観ると妙に安っぽく「余計なことを……」と思ってしまいます。「You're Crazy」はノーマルな仕上がりですが、やはり本物ステージとは違って窮屈そう。カメラ目線に迷うアクセルが初々しいプロショットです。 【1988年9月7日:MTV VIDEO MUSIC AWARDS】続いては、MTVミュージック・アワード授賞式でのパフォーマンス。ステージだとやはり輝きが違う。“いつも通り”の熱演をMTVらしいダイナミックなカメラワークで捉えきっており、「Welcome To The Jungle」1曲なのが残念になってしまう素晴らしさ。 ただし、ここでも観客はGUNS N' ROSESのファンとは限らない。音声には黄色い嬌声が飛びまくるのですが、映像では腕の1本も挙げずにジッとステージを凝視している。その観客とアクセルの熱演、黄色い今日がなんとも不思議なギャップが凄い。最後にムカついたようにマイクを放ってステージを去るアクセル……。なんとも味わい深いプロショットです。 【1989年1月30日:AMERICAN MUSIC AWARDS】続いては、レア映像。アメリカン・ミュージック・アワードでの「Patience」です。1989年10月には“APPETITE FOR DESTRUCTION TOUR”が終了しており、久しぶりに公の場で演奏したわけですが、この時スティーヴン・アドラーはドラッグ中毒の治療のために欠席。代わってスツールに座っている長髪の男は、EAGLESのドン・ヘンリーなのです。メンバーも珍しければ、雰囲気も珍しい。まるでピアノの発表会でもやりそうなステージで、そこに当代きってのバッドボーイズが穏やかに「Patience」を演奏する……。何とも不思議で他では味わえない映像です。 【MTV ROCKUMENTARY】最後は、MTVの名物番組“MTV ROCKUMENTARY”を丸ごと収録。現象盤『APPETITE FOR DESTRUCTION』で揺さぶられていた当時が強烈に匂ってくるドキュメンタリーで、ライヴショットと共にメンバーのインタビューもたっぷりと収録。この後、巨大化と共にオリジナル・ラインナップも崩れていくわけですが、その時代感覚が数々の映像と共に描かれていきます。GUNS N' ROSESの登場がいかにセンセーショナルであり、『APPETITE FOR DESTRUCTION』がなぜ時代の象徴盤となり得たのか。そして彼らはどんな時代に飛び出し、どんな匂いの中で呼吸していたのか。それを数々のテレビ番組から浮き立たせる1枚です。 GUNS N' ROSES - ON TV 1988-1989(40:15) The Late Show (Fox TV), Los Angeles, CA. USA 31st March 1988 1. You're Crazy 2. Used To Love Her MTV Video Music Awards, Los Angeles, CA. USA 7th September 1988 3. Welcome To The Jungle American Music Awards 30th January 1989 4. Patience MTV Rockumentary 5. Special Programme feat. Interviews PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.40min.