1980年中期当時を代表するプロショットと言えば、もちろんパリ公演やフィラデルフィア公演……なのですが、この2つはあまりも有名で恐らく本稿を目にされた方は何らかのタイトルでお持ちなのではないでしょうか。そこで今回は、代表2本とは異なる「テレビ出演」を集成したコンピレーションをご用意しました。そんな本作に収められているプロショットは多種多様ながら、大きく3つのセクションに分類できる。それぞれ個別にご紹介していきましょう。 【ヨーロッパ各国のマイム番組(3種)】まず登場するのは、シングル『Wasted Years』のプロモーションとして出演したもの。フランス/西ドイツ/オランダの3ヵ国の音楽番組で、いずれもマイムながらPVとは違う「動くWasted Years」が楽しめます。西ドイツの「P.I.T.」はヒストリービデオ『12 WASTED YEARS』でもお馴染みの映像です(メンバー同士がふざけて楽器を交感しまくるヤツです)が、本作では公式DVDよりも美しく長尺な再放送版(テレビフレーム付き)で収録しています。それ以上のインパクトなのが「1986年11月10日」に収録されたというパリ番組。これのみ「Run To The Hills」「Wasted Years」の2曲なのですが、その合間にはキャストによる寸劇が入る。これが水着姿のお姉ちゃん達による乱痴気騒ぎでして、完全に意味不明。当時のメタルがどういう扱いだったのかが透ける珍番組です。 【ファンのクルー体験特番“JIM'LL FIX IT”】続くのは、本作のメインとも言えるBBCのドキュメンタリー番組“JIM'LL FIX IT”。土曜夜の家族向け番組なのですが、番組を観ていた13歳の少年が「IRON MAIDENのクルーになりたい」という夢を手紙に綴って投稿。その夢が実現させるという特番なのです。 現場は「1986年11月3日ハマースミス公演」。ハマースミス・オデオン6連続公演の初日でした。少年はクルーバスで目を覚まし、同じ釜の飯を食い、ギターのチューニングやドラムのセッティング(ニコ本人がレクチャー。さすがファンサービスの権化です)に勤しみ、タオルを持ってステージ袖で熱演を見つめている。最後はステージで観客に紹介され、バックステージではメンバー全員から歓待を受け、ゴールド・ディスクまでもらっている(!)のです。とんでもない幸運に恵まれながら、ガッチガチに緊張し続けて全然笑顔になれない初々しさが微笑ましくも羨ましい。合間には超・激レアなハマースミス公演のライヴ・プロショット(!!)も観られるお宝映像なのです。 【ツアーCMや来日公演(4種)】最後のセクションは貴重なツアーCMや日本公演の様子をフィーチュアしたプロショット4種。ツアーCMは2種あり、特にレアなのは日本武道館公演のCM(!)。しかも、これは海外(ニューヨーク)で放送されたもので、MTV企画の日本遠征ツアーです。メイデンの映像は餅論のこと、秋葉原も挿入。1000ドル(当時はプラザ合意の直後で12万2000円相当)という価格もリアルです。そして、その後は実際に来日した際の映像。『12 WASTED YEARS』で同じみなシーンもありますが、必見なのはその後。ファンを交えた「IRON MAIDEN杯ボーリング大会」の模様です。メンバーとファンがボーリングに興じているだけでも激レアですが、それを某音楽評論家がハイテンション実況。今では考えられないお宝映像です。『死霊復活』『メイデン・イングランド』に挟まれているため、全盛期にも関わらず記録の乏しい『SOMEWHERE IN TIME』時代。本作は多彩な姿を目撃できるプロショット集です。オフィシャルがアーカイヴし損ねている貴重な時期を満喫。IRON MAIDEN - TV SPECIAL 1986-1987 (40:11) PARIS TV 1. Intro 2. Run To The Hills 3. Wasted Years P.I.T. GERMAN TV 4. Wasted Years COUNTDOWN 5. Wasted Years JIM'LL FIX IT 6. Intro 7. Before Show 8. Caught Somewhere In Time 9. Heaven Can Wait/MC 10. After Show/Interview TOUR COMMERCIALS/MAIDEN JAPAN ’87 11. World Tour CM 12. Budokan CM 13. Budokan 14. Bowling in Japan PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.40min