黄金の5人が揃いつつ、まだ『IN ROCK』革命の前夜だった1969年のDEEP PURPLE。そんな黎明時代を代表するプロショットのカラー版がリリース決定です。そんな本作に収められているのは、2種類の超有名映像「1969年8月22日“JAZZ BILZEN”」と「10月11日“ESSEN INTERNATIONAL POP & BLUES FESTIVAL”」。欧州フェスに出演した際のマルチカメラ・プロショットです。当時の彼らはイアン・ギランとロジャー・グローヴァーを迎えて『IN ROCK』を制作……する前に、『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』でロックとクラシックの融合にも挑戦していました。まずはその歩みを振り返り、本作のポジションを確かめてみましょう。《6月16日:ギラン&グローヴァー加入で合意》《7月4日:エヴァンス&シンパー解雇》・7月10日-20日:英国#1(3公演)・8月20日:ロンドン公演・8月22日-24日:欧州#1(3公演)←★本作前半★・8月26日-9月7日:英国#2/北欧(9公演)・9月12日-28日:英国#3(7公演)←※『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』・10月4日-14日:欧州#2(6公演)←★本作後半★《10月14日『IN ROCK』制作開始》・10月22日-12月28日:英国#4(36公演)※注:TVやラジオ等のメディア出演は省略しています。これが第II期の誕生から1969年いっぱいまでのスケジュール。ロッド・エヴァンスとニック・シンパーの最終公演は“7月4日”で、その約一週間後にはイアン・ギラン&ロジャー・グローヴァーとステージに立っていました。その後、イギリスで肩慣らし的に数公演をこなしつつ、海外へ進出。本作前半の“JAZZ BILZEN”は、そんな大陸ヨーロッパ第1日目。もう一方の“ESSEN INTERNATIONAL POP & BLUES FESTIVAL”は『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』を経た後の「欧州#2」で、『IN ROCK』制作のためにスタジオ入りする3日前のステージでした。そんな2公演はマルチカメラ・プロショットが残された事でも有名で、以前から第II期DEEP PURPLEの最初期映像として珍重されてきました。本作もまたその定番プロショットなのですが、これまでと大きく異なる。なんと、史上初のカラー版なのです! ただし、カラーフィルムが新発掘されたわけではありません。本作は、最近話題になっているAIプログラムによる人工着色版なのです。アンダーグラウンドの音源/映像は技術の進歩をビビッドに感じやすいものですが、遂にモノクロ映像のカラー化が個人ベースでも可能になったのです。注目のクオリティは……意外なほどに自然。ここで言う「自然」とは、現場の色合いをリアルに再現という意味ではありません。むしろ、どちらかと言うとモノクロ映像のセピア化という感じ。ただし、その風合いにわざとらしさがない。従来のような人間の手作業ベースの着色の場合、どうしても意図があざとい「塗り絵」的になってしまいました。しかし。本作はプログラムによる自動のために意図がなく、色とりどりの照明に照らされていたであろう現場ムードが自然に感じられる。そして何より、そのセピア感がヴィンテージな内容にぴったりフィットしているのです。もちろん、見応えは格段にアップ。モノクロでは背景と人物が一体化して感じられましたが、本作は肌や髪の質感が生々しく、楽器や壁の無機質感から浮き立って見える。ご存じの通り、「Wring That Neck」や「Mandrake Root」といったインスト曲がメインなためにイアン・ギランの絶唱はオアズケですが、ジョン・ロードは絆創膏も痛々しい指先を走らせ、リッチー・ブラックモアはギブソンES-335とストラトキャスターを激しく吠えさせ、イアン・ペイスは今にも汗が飛び散りそうな勢いで叩きまくる……そんな肢体の肉感が苛烈なインプロヴィゼーションとシンクロし、さらなる躍動感を醸してくれるのです。オーディエンス録音の高音質化やデジタル・マスタリグ、マルチカメラ編集等々、これまでもアンダーグラウンド記録は技術の進歩と共に新たな可能性が拓かれてきました。そんな未体験の感動が、また1つ生まれた。文字通り、モノクロの名作映像に自然で美しい「色気」を宿らせた新傑作。『IN ROCK』直前期を象徴するプロショットのカラー版がリリース。AIによる初のカラー版で、手作業着色とは違って「塗り絵」感のないヴィンテージ・テイストが素晴らしい。技術の進化によって生まれた傑作映像です。 Jazz Bilzen: Begijnhof, Bilzen, Belgium 22nd August 1969 Essen International Pop & Blues Festival: Grugahalle, Essen, West Germany 11th October 1969 (42:09) Jazz Bilzen Begijnhof, Bilzen, Belgium 22nd August 1969 Recorded by Belgium TV "Tienerklanken". The band performed on the second day, "Pop And Beat", of the four day festival 1. Wring That Neck 2. Drum Solo (Paint It Black) 3. Mandrake Root Essen International Pop & Blues Festival Grugahalle, Essen, West Germany 11th October 1969 4. Wring That Neck 5. Mandrake Root Ian Gillan - Vocal Ritchie Blackmore - Guitar Roger Glover - Bass Jon Lord - Keyboards Ian Paice - Drums PRO-SHOT COLUOR NTSC Approx. 42min.