本作に収められているのは「1988年2月13日デンバー公演」。その公式マルチカメラ・プロショットです。絶頂期の大決定映像なのですが、日本でリリースされたのはVHSのみで、いまだにDVD化されていません。海外ではDVD化もされていますが、こちらには日本版特有の字幕がありませんでした。そこで、VHSコレクターから新品同様のVHSを提供していただき、最高峰クオリティで蘇らせたのです。何しろ、このコレクターのVHSコレクションは、保存状態が異常なほど良い。どんな倉庫で補完しているのか分かりませんが、30年の時間をまるで感じさせないピッカピカの状態。外装だけならまだ分かりますが、再生してみるとテープのヨレや歪み、ノイズすらまったくなく、ほとんどレーザーディスクのように完璧な映像と音声が飛び出してくるのです。今までも、このコレクターのコレクションからY&TやBON JOVI、GARY MOORE等を復刻して参りましたが、今回のDEF LEPPARDもまったくの完璧ぶりで、肝心の日本語字幕もデジタルで重ねたかのようなクッキリとしたエッジが際立っています。その画質・音質で蘇るのは、モンスターヒット『HYSTERIA』時代のDEF LEPPARD。本編プレス2CDの解説にもありますが、セットは2大ヒット『PYROMANIA』&『HYSTERIA』の濃縮還元。当日演奏から数曲カットされているわけですが、そのおかげで一層純度が高まっています。そして、その黄金のセットリストを披露する彼の輝きもまぶしい。弾ける勢いでメロディを紡いでいく、向かうところ敵なしのパフォーマンスが画面いっぱいに広がるのです。そして、そこにはスティーヴ・クラークの姿がある。この“HYSTERIA World Tour”は、単に全盛期というだけでなく、リック・アレンが復帰した喜び溢れるツアーであり、スティーヴの生前最期のワールドツアーでもあった。ジョー・エリオットが満面の笑みで「親友を紹介するよ、ギターのスティーヴ・クラーク!」と紹介してはギターソロに突入し、「ギブソンの18弦を抱えたスティーヴ・クラーク!」と言うと彼がつま弾き出す。日本語字幕があるからこそ、そのニュアンスもムードもダイレクトに感じることができるのです。他にも曲の逸話や観客への感謝の言葉にも逐一、字幕が付いていきますが、極めつけは「Pour Some Sugar On Me」の紹介MC。ジョーが感慨深げに「この4年間は長かったよ……」と語り出す。「実際いろいろなことがあった。いいこともあれば悪いこともあったけど、最高の出来事といえば……“雷神”リック・アレンが帰ってきた!」と叫ぶシーン。リックが交通事故で片腕を失ったのは1984年12月31日。メンバーチェンジを考えることすらなく、ロック史上前代未聞の専用キットを開発しての復帰を果たし、しかもその第一弾である『HYSTERIA』の怪物ヒットとツアーが大成功。バンド解散まで考えた絶望の淵からの大逆転劇を噛みしめるMCです。ロック史上、他に類を見ない悲劇と逆転劇を経験したDEF LEPPARD。その喜びをクールに味わうスティーヴ・クラーク最期の姿。単に時代を象徴するライヴビデオという以上に、メモリアルな瞬間にあふれた傑作映像です。McNichols Sports Arena, Denver, Colorado, USA 12th & 13th February 1988 PRO-SHOT (91:04) 1. "Rocket Intro"/"Do I Feel Lucky?" (from the film Dirty Harry) 2. Stagefright 3. Rock! Rock! (Till You Drop) 4. Women 5. Too Late For Love 6. Hysteria 7. Steve Clark Guitar Solo 8. Gods of War 9. Die Hard The Hunter 10. Bringin' On The Heartbreak 11. Foolin' 12. Armageddon It 13. Animal 14. Pour Some Sugar On Me 15. Phil Collen Guitar Solo 16. Rock Of Ages 17. Photograph 18. Switch 625 (End Credit) Filmed at McNichols Sports Arena, Denver, Colorado, USA 12th & 13th February 1988 Additional Footage Filmed at The Omni, Atlanta, Georgia, USA 7th, 8th & 9th October 1988 Promo Clips (8:08) 1. Me And My Wine 2. Pour Some Sugar On Me Joe Elliott - Lead Vocal Phil Collen - Guitar Steve Clark - Guitar Rick Savage - Bass Rick Allen - Drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.99min. Joe Elliott - Lead Vocals Phil Collen - Guitars, Vocals Steve Clark - Guitars, Vocals Rick Savage - Bass, Vocals Rick Allen - Drums