クラプトンの一つのピーク「ジャーニーマン・ツアー」の未公開オーディエンスショット映像がまたも出現!今、まさに来日公演中で盛り上がっているエリック・クラプトン。彼の90年の「ジャーニーマン・ツアー」からの未公開の素晴らしいオーディエンスショット映像が発掘されました!このツアーのオーディエンスショット映像と言えば、先日、同年3月5日の「Frankfurt 1990 The Video」をリリースしたばかりですが、今回はその2週間前に当たったストックホルム公演の未公開映像です。本作もそれに迫るクオリティの映像なのです。ただし終盤の5曲が何らかの事情により撮影停止となり映像未収録、静止画の音声だけになってしまっているからです。とは言え、この時代としては素晴らしいクオリティにつき、鑑賞していただく価値は十分にあると考えます。アングルは、ステージに向かい正面やや左の2階スタンド席からで、かなり遠い席ですが、最大アップでクラプトンの全身を中心にステージ中央を映し出しています。クラプトンがワウペダルを踏む様子もよく解かります。冒頭だけアングルが定まりませんが、すぐに落ち着きます。左右に前方の客の頭がありますが、その間を縫ってうまく撮影しています(ちょいちょい妨害されますが)。この日のクラプトンのルックスは、ロングヘアにベルサ―チのブラックジャケットにホワイトシャツ、革のブラックパンツを合わせています。脚が細くて、とてもかっこいいです!元はVHSのため、経年によるノイズが入る箇所もありますが、微々たるものです。クラプトンの表情までは分かりませんが、色落ちすることもなく、当時のステージの全貌を楽しむことができる優秀なクオリティです。そして音声がまた素晴らしく良好なクオリティなので、それがストレスを感じさせない要因の一つになっています。この音声の優秀性のため、終盤の5曲も音声のみで成立しているというわけです。90年と言えば、ビデオカメラも現在のように小型化しておらず、セキュリティも非常に厳しかった時代でした。にもかかわらずよくぞ持ち込み、ここまで最大限やりきったものだと褒めてあげたい内容です。「ジャーニーマンツアー」と言えば、中盤にアコースティックセットを設けることなく、徹頭徹尾エレクトリックでギンギンにロックしていたステージで、そこでのクラプトンの弾き捲りぶりは長い彼のキャリアでも一つのピークだったと考えられています。さらにロングヘアにジャンニ・ベルサーチのドレススーツを身に纏ったメガネなしのルックスは非常にかっこいいもので、特に人気の高いツアーでした。過去にはBBCで放映された1月24日の4ピースバンドの有名なプロショット映像を始め、南米ツアーのフルライブ映像など、優れた映像には恵まれたツアーですが、オーディエンスショットが意外に少ない中、ファンなら観て損はないレベルの映像です 45歳の弾き捲るクラプトン。セットリストが魅力 それでは1990年の「ジャーニーマン・ツアー」の日程を振り返ってみましょう。《1989年11月7日:アルバム「JOURNEYMAN」リリース》・1月14日~2月10日:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールにて18夜連続公演「18 Nights」を含むイギリス国内ツアー・2月14日~3月5日:北欧を含むヨーロッパツアー ←★ここ★・3月24日~5月5日:アメリカンツアー・ファーストレグ ・6月6日:ニューヨーク、レキシントンのアーモリーにて、「インターナショナル・ロック・アワード」受賞・6月30日:イギリス、ネブワースにて行われた「シルバークレフ・アワード・ウィナーズ・コンサート」(通称ネブワース・フェスティバル)に出演・7月21日~9月29日:アメリカンツアー・セカンドレグ・10月3日~10月21日:南米ツアー・11月7日~11月29日:オセアニア&東南アジアツアー・12月4日~12月13日:ジャパンツアー これを見ると、文字通りのワールドツアーに明け暮れた年だったことがお分かりいただけるでしょう。その中にあって、この日はヨーロッパツアーの最終日、ロンドンで「18Nights」を成功させて脂が乗ってきた時期であり、一つの節目を迎えたタイミングでもありました。クラプトンの気合が入らないわけがありません。オープニングから飛ばし捲っています。各曲のギターソロはもうギンギンの弾き捲りです。セットリストには当時の最新アルバム「JOURNEYMAN」からのナンバーが7曲も組まれており、あの名盤の楽曲のライブ映えするバージョンを目にすることができます。後にはセットから落とされるBreaking Pointがこの時点ではプレイされていたのがポイント高いです。そのほかにも、I Shot The Sheriffの後奏は鬼気迫るレベルですし、White Roomのワウワウソロもキレッキレです。Bad Loveのチョーキングの凄いこと!Old Loveの泣きのプレイもぐっと来ます。こんな風に観どころを挙げていくと、枚挙に暇がなくなってしまいます。CocaineもLaylaも凄いです。「ジャーニーマン・ツアー」では連日このレベルのパフォーマンスが展開されていたのですね。Sunshine Of Your Loveの曲前には、スタンダードナンバーのBlue Moonが演奏されます。これは実は中間のクラプトンのソロのネタ振りでして、元々クリームのオリジナルバージョンで、クラプトンはBlue Moonの一節を拝借してソロを構成していたという裏話があり、それをここで堂々と証明して見せたというわけです。そしてこの後親指の怪我でツアーを離脱するパーカッションのレイ・クーパーがこの時点ではバンドにいます!このナンバーではスティーヴ・フェローンのドラムソロとともにパーカッションソロで会場を盛り上げる様子が分かります。クラプトンが自ら「世界最高のバンド」と称えた、このツアーのみのサポートミュージシャンたち このツアーをここまでクオリティの高いものにしたのは、実力のあるバンドメンバーに負うところが大きかったと言えます。ベースのネイザン・イースト、キーボードのグレッグ・フィリンゲインズ、ドラムのスティーヴ・フェローン、コーラスのテッサ・ナイルズ&ケイティ・キスーンは86年の「AUGUST」以来の信頼関係にあるメンバーで、クラプトンとの呼吸を知り尽くした人たち。セカンドギターのフィル・パーマーは89年からバンドに加わったセッションマン上がりの実力派のプレイヤーでした。決して「七光り」ではありませんが、キンクスのデイヴィス兄弟の甥に当たる人で、まったくミストーンのない的確で器用なプレイぶりは大いにクラプトンをフォローしていました。クラプトンにスカウトされたきっかけは、86年のイギリスのシンガーソングライター、ポール・ブレイディのアルバムセッションで出会い、88年のプロデューサー兼アーティストのジョン・アストリーのアルバムセッションで再会したことだったようです。キーボードのアラン・クラークは、87年のジャパンツアー時に フィリンゲインズのスケジュールが合わなかった際にクラプトンが親交のあるダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーに相談して借り受けた人物でした。ダイアー・ストレイツでもシンセ担当のガイ・フレッチャーとの対比、役割分担をうまくこなしていた彼なので、クラプトンバンドでもフィリンゲインズとのすみ分けは見事です(フィリンゲインズはピアノとシンセ、クラークはオルガンメインです)。さらにイギリスでは古参のパーカッショニストであるレイ・クーパー(元エルトン・ジョン・バンド)がいました。Sunshine Of Your Loveの中盤でフェローンとドラム&パーカッションソロバトルを繰り広げ、オーディエンスともコール&レスポンスをやって、会場をMAXまで盛り上げています。改めて「世界最高のバンド」の所以をこの映像でご確認ください。Globen, Stockholm, Sweden 16th February 1990 01. Pretending 02. Running on Faith 03. Breaking Point 04. I Shot The Sheriff 05. White Room 06. Can't Find My Way Home 07. Bad Love 08. Before You Accuse me 09. Old Love (part of footage cut) 10. No Alibis 11. Tearing Us Apart 12. Wonderful Tonight (footage cut) 13. Cocaine (audio only) 14. Layla (audio only) 15. Crossroads (audio only) 16. Sunshine of Your Love (audio only) Eric Clapton – guitar / vocals Phil Palmer – guitar Greg Phillinganes – keyboards Alan Clark – keyboards Nathan East – bass / vocals Steve Ferrone – drums Ray Cooper – percussion Katie Kissoon – backing vocals Tessa Niles – backing vocals COLOUR NTSC Approx.138min.