1988年「SERPENS ALBUS」リリースに伴うジャパンツアーは、6月11日から15日まで行われた代々木オリンピックプール4連続公演を皮切りに、それ以後は横浜・名古 屋・大阪(2公演)と、6月22日まで計8公演が行われました。しかしこのうちコレクターズ・アイテムとして認知度の高いショウは6月13日・東京3日目 のみ。その音源が「THE NIGHT SERPENT」「PLEDGE OF VICTORY」という大傑作とはいえ、これではいかにも少ないというもの。そのためツアー5日目に当たる6月16日の横浜公演を約100分にわたりオリ ジナル・マスター使用の高音質オーディエンス録音で完全収録した本作は、昨年に期間限定で登場した時からファンの皆さんより再登場を強く求められてきまし た。今回は、1988年日本ツアー初日公演「CHILDREN OF THE FIRST NIGHT」リリースを記念し、再びこの貴重な音源を特別リリースいたします!テーパーとステージの間に若干の距離があり、リズムなど低音の入力もやや過多な印象ですが、楽音そのものは安定した音像でしっかりと録音されています。 また音の抜けや明度もなかなか良好で、聴き手はライヴへすんなりと入り込めるはず。特に定位の中央から響くカヴァデールのヴォーカルはオープニングの 「Bad Boys」や「Slide It In」から強烈な存在感を放ち、ライヴを通して彼のパフォーマンスは迫力満点です。どよめくオーディエンスの様子も臨場感豊かに楽しむ事ができ、聴き手は ライヴの全貌を確かな聴き応えで追体験できるでしょう。 「SERPENS ALBUS」当時のWHITESNAKEは、'70年代~'80年代初めのようなアドリブパートを極力排し、ソリッドでかっちりとまとまった完成度の高い ライブを展開しているのが特徴です。そのため演奏内容そのものは「THE NIGHT SERPENT」「PLEDGE OF VICTORY」の代々木公演と遜色のない、プロフェッショナル然としたショウが貫かれています。しかし、同じようなショウかというとそうではありませ ん。大舞台の東京公演を成功させたという安心感からか、カヴァデールのMCほか、バンドの演奏もより自然体でリラックスした印象があり、この横浜公演では スポンテニアスなムードに満ちたグルーヴいっぱいのライブを展開しています。演奏で耳を惹くのはカヴァデールだけでなく、「Guilty Of Love」や「Crying In The Rain」のイントロで繰り広げられるツイン・ギターの妙技も聴き逃せません。エイドリアン・ヴァンデンバーグとヴィヴィアン・キャンベルという実力派ギ タリスト2人の共演はこのワンツアー限り。後のスティーヴ・ヴァイ時代は派手さと華やかさは「より以上」でしたが、メロディアスでヨーロピアンな空気をま とったメタル・サウンドは、この'88年がピークだったと言えるでしょう。特に「Crying In The Rain」冒頭における12分近い2人のロングソロは大きな聴き所で、フラッシーな華やかさとクラシカルな速弾きを存分に楽しませてくれます。セット本編 を締めくくる「Still Of The Night」のドラマチックな演奏と起伏に富んだパフォーマンスは圧巻の一言。'90年のツアー以降はカヴァデールの声が荒れがちになってしまいますが、 '88年当時の強烈に伸びるパワフルなハイトーンは素晴らしく、そのふり絞るような叫びには聴き惚れてしまいます。アンコールはバンドが長らくアイデンティティとしてきた「Ain't No Love In The Heart Of The City」からスタート。同曲の導入部分、「Blues song for you...this is a specially for you」とMCするカヴァデールの低く響く声、ワン・アンド・オンリーの深みあるヴォーカル・アドリブからしてファンには堪らないでしょう。これらが混ざ り合って自然な雰囲気で曲に入るパフォーマンスにはファンならずとも酔いしれてしまいます。中間のコーラス・パートでこだまする印象的なルディ・サーゾの ベース、響き渡るようなトミー・アルドリッジのドラム、ルックスとは裏腹にどこまでもヨーロピアンなムードを失わないエッジの効いたギターソロなど、演奏 はすべてが言う事なしの素晴らしさです! 当時のライヴは最後にZZ TOPの替え歌カバー「Tits」が取り上げられるのがお約束ですが、この日は時間の制約があったのか演奏されず、会場には終演を告げる「We Wish You Well」が、ライヴの余韻を噛みしめるように流されます。本録音はこの「We Wish You Well」そして終演後の日本語アナウンスまでノンカットで収録されており、同日のドキュメントとしても大きな価値を持っています。バンドはこの後6月末から8月まで主にGREAT WHITEをスペシャル・ゲストに起用した全米ツアーを行い、「SERPENS ALBUS」ツアーを大成功のうちに完了します。しかし次回作の製作過程においてヴィヴィアンは解雇され、スティーヴ・ヴァイを迎えた WHITESNAKEはさらなるモンスターへと変化していきます。しかしこの時期の演奏を聴けば判る通り、"Metal Snake"路線はこのヴィヴィアン在籍時こそがピークだったのでしょう。彼らの世界的な成功に裏付けられた上り調子の勢いと充実一途の絶好調パフォーマ ンスは、オーディエンス録音だからこそ記録できる熱さとポジティヴなムードでいっぱいです。この時代を象徴するカラフルで明るいイメージに満ちた WHITESNAKEサウンドを、「CHILDREN OF THE FIRST NIGHT」と共にたっぷりとお楽しみください! Live at Yokohama Bunka Taiikukan, Kanagawa, Japan 16th June 1988 AMAZING SOUND(from Original Masters) Disc 1 (40:15) 1. Opening 2. Bad Boys 3. Slide It In 4. Slow An' Easy 5. Here I Go Again 6. Guilty Of Love 7. Is This Love Disc 2 (58:17) 1. Love Ain't No Stranger 2. Guitar Solo 3. Crying In The Rain 4. Drums Solo 5. Still Of The Night 6. Ain't No Love In The Heart Of The City 7. Give Me All Your Love 8. We Wish You Well David Coverdale - Vocal Adrian Vandenberg - Guitar Vivian Campbell – Guitar Rudy Sarzo - Bass Tommy Aldridge - Drums