'77年5月の新作発表に伴いスタートした「LIGHTS OUT」ツアーは、ヨーロッパそしてイギリスと、上り調子のバンドの勢いを見せつけるように、各地で充実した演奏を繰り広げました。しかしマイケルは、フィル・モグとの人間関係や、ストレスに起因するアルコール摂取の過多から不安定な状態に陥り、6月12日のロンドン公演終了後にバンドから失踪。故郷ドイツへと帰ってしまいます(この時マイケルは脱退の意思を記した書置きを残していたそうです)。7月からのアメリカツアーを目前に控えて窮地に陥ったバンドは、オーディションで後任を探したり、ゲイリー・ムーアに参加を打診するものの、どちらも実現しませんでした。フィルは最後の手段として、'74年に一時期マイケルとともに"セカンド・ギタリスト"として在籍した、LONE STARのポール・チャップマンに復帰を要請。チャップマンはLONE STARで2作目のアルバムを完成させたばかりにも関わらず、UFOに助っ人として臨時復帰し、アメリカツアーに参加しました。その後8月にマイケルが姿を見せた事でフィルと話し合いが持たれ、マイケルのバンド復帰が決定。9月からはRUSHのサポートとして、再度のアメリカツアーが始まりました。本作ではそのツアー中の9月29日、フレスノの"ワーナー・シアター"公演での演奏を、貴重なオーディエンス録音で収めています。 オープニングの「Lights Out」から、本録音は良質な見通しとダイレクト感が特徴で、特にフィルのヴォーカルは明瞭な輪郭で鮮やかに響いてきます。マイケルのギターもソロではしっかりフォーカスされ、切れ味あるプレイを迫力たっぷりに楽しめます。ピート・ウェイとアンディ・パーカーのパワフルなリズムや、ポール・レイモンドのキーボードも、理想的なバランスで捉えられています。観客は本ライヴでも大きく盛り上がっていますが、その騒ぎが演奏を妨げない聴き易さも嬉しいポイントです(臨場感と演奏のバランスの良さは、オーディエンス集音したFMソースのような印象すらあります)。演奏をじっくり聴き込みたい「Love To Love」では、本録音の良さを実感できるでしょう。この時はRUSHの前座という時間的制約から、約50分の短縮セット。しかし「LIGHTS OUT BIRMINGHAM」で聴けたバーミンガム公演をさらに濃縮したセットリストは、'70年代UFOのエッセンスといえる曲目が並び、聴き手に飽きを感じさせません。中盤で飛び出す「Doctor Doctor」はもちろん、当時の定番曲「Out On The Streets」と「This Kids」のエネルギッシュな演奏、軽やかな「Shoot Shoot」もファンを楽しませます。ラストはもちろん「Rock Bottom」! ライヴを濃密な満足感の中に締めくくります。この'77年作品「LIGHTS OUT」から、翌'78年の「OBSESSION」当時にかけては、アルバムやライヴが充実していたにも関わらず、(主にマイケルに起因して)バンド状態は不安定でした。その揺れ動いた時代のマイケルとバンドを、ライヴ・ステージで生々しく捉えた本作は、時代の証拠として非常に価値があります。貴重なライヴをしっかりとした録音で聴かせる本作は、UFOファンにとって是非コレクションしたい一本。イギリスでの熱演を収めた「LIGHTS OUT BIRMINGHAM」と併せ、じっくりお楽しみいただきたいと思います! Live at Warner Theatre, Fresno, CA. USA 29th September 1977 TRULY AMAZING SOUND 1. Intro. 2. Lights Out 3. Love To Love 4. On With The Action 5. Doctor Doctor 6. Out On The Streets 7. This Kids 8. Shoot Shoot 9. Rock Bottom Phil Mogg - Vocals Michael Schenker - Guitar Pete Way - Bass Andy Parker – Drums Paul Raymond - Keyboards