世界初公開のキニー・カセットの登場です。これまでもさまざまなキニー録音をオリジナル・カセットから復刻して参りましたが、今回はアナログを含めてタイトル化されたことのない発掘品。しかも、数あるキニー録音でも特級のクオリティを誇る極上品です。そんな本作が録音されたのは「1988年4月7日:代々木オリンピックプール」。当時『BIG GENERATOR』で飛ぶ鳥を落とす勢いだったYES二度目の来日公演を収めたオーディエンス・アルバムです。まずは、当時の日程を見てみましょう。 ・4月4日:代々木オリンピックプール ・4月5日:代々木オリンピックプール ・4月7日:代々木オリンピックプール 【本作】 ・4月9日:横浜文化体育館 ・4月10日:名古屋国際会議場 ・4月12日:大阪府立体育会館 ・4月13日:大阪府立体育会館 以上、全7公演。初来日から15年ぶりという今では考えられないブランクを経ての再来日。彼らの来日史でも最大級となる“代々木オリンピックプール”で3日間もライヴ行っており、当時の人気ぶりが日程からもうかがえます。本作に収められているのは、その3日間の最終日なのです。この日は、『THE BIG TOUR IN JAPAN』でも愛されてきましたが、もちろん本作は完全な別録音。そのクオリティは、まさにキニー・マジックと呼ぶに相応しいクリア・サウンドなのです。巨大な国立代々木競技場にも関わらず、その楽音は骨太で距離感を感じさせないほどに力強い。「まるでサウンドボード」と呼ぶタイプでこそないものの、そのクリアさはライン録音に匹敵するほどに鮮やか。数々のキニー録音をお届けしてきましたが、本作はその中でもトップクラス。音楽性の異なるバンドがひしめく中で「これが一番」とはなかなか決められないものの、確実にその最有力の1つなのです。そんな極上サウンドのキニー録音ですが、残念ながら大きな欠点もありました。それはショウ終盤の「Wurm」の演奏後、録音が終了してしまうのです。それまではテープチェンジのカットも演奏に被らない完璧な録音だというのに、なんとも惜しい……(恐らくはこれが原因で未発表だったのでしょう)。本作では、テープチェンジの曲間カットや最後の3曲「Love Will Find A Way」「I've Seen All Good People」「Roundabout」をAyanamiレーベルの『THE BIG TOUR IN JAPAN』で補完、ショウの完全形をシームレスで体験できるようにいたしました。さすがにキニー・マジックが輝く本編には及ばないものの、『THE BIG TOUR IN JAPAN』も決定盤との誉れを長年受けてきた名録音。違和感を最小限にするイコライジングも施し、黄金期の光り輝くYESショウを最後までお楽しみ頂ける仕上がりになっています。そのキラめくショウがまた、なんとも素晴らしい。「Rhythm Of Love」「Changes」「Love Will Find A Way」「Owner Of A Lonely Heart」といったヒット曲を主軸に『90125』『BIG GENERATOR』のナンバーをズラリと並べ、当時未発表だったCINEMAの「Make It Easy」までも披露。煌びやかでキャッチー、それでいてテクニカルな“90125 YES”の旨みがこれでもか!と繰り広げられる。さらに70年代クラシックスも素晴らしい。『ザ・イエス・アルバム』『こわれもの』『危機』から数曲ずつと数こそ多くはありませんが、大曲揃いなので不足感はなし。80年代風にアレンジされつつ、よりロックのダイナミズムに溢れているのが嬉しい。当時はトレヴァー・ラビンのギタースタイルに違和感を覚えたものですが、現在の耳には“懐かしいのに新鮮”という不思議な感覚に襲われる。さらに、ショウ後半には1988年最大の語り草にもなっているジョン・アンダーソンの「どんぐりころころ」が披露され、クリス・スクワイアのソロタイムで「Amazing Grace」が演奏される。懐かしさに思わず微笑んでしまうシーンも、今だからこそ胸に迫る旋律も、キラめくクリア・オーディエンスで生体験できるのです。そして、本作のサウンドはそんな名曲群に驚喜する観客たちの息づかいさえもが美しい。念のために付け加えますが、本作はクリアに透き通るような楽音こそが総てを支配しており、狂騒や煩わしいオーディエンス・ノイズはほとんどありません。しかし、曲間に贈られる喝采やクラシックスのイントロでどよめく観客の存在感は確かにある。音量は小さくとも、広大な立体感が透け、まさにバブル絶頂に向かっていた時代だからこそのスケール感を味わわせてくれます。ただでさえ貴重な“90125 YES”を、キニーの超美麗サウンドで味わえる大傑作です。時代の熱い風がスピーカーから吹き出すだけでなく、ARWが脚光を浴び、来日公演の迫る“今”だからこそ光り輝く1本。大成功の喜びを胸いっぱいに吸い込んでいた80年代のYES Live at Yoyogi Olympic Pool, Tokyo, Japan 7th April 1988 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (66:11) 1. Rhythm Of Love 2. Hold On 3. Heart Of The Sunrise 4. Big Generator 5. Changes 6. Shoot High Aim Low 7. Holy Lamb 8. Tony Kaye Keyboards Solo 9. Solly's Beard 10. Make It Easy 11. Owner Of A Lonely Heart Disc 2 (63:09) 1. Yours Is No Disgrace 2. Donguri Koro Koro 3. Nous Sommes Du Solei/Amazing Grace 4. And You And I 5. Wurm 6. Love Will Find A Way 7. I've Seen All Good People 8. Roundabout Jon Anderson - Vocals Tony Kaye - Keyboards Trevor Rabin - Guitars, Vocal Chris Squire - Bass, Vocal Alan White – Drums