YESの大成功時代でありながら、正規には中途半端なライヴアルバムとビデオしか残されなかった「90125時代」。その真価を極上に伝えてくれるフル・オーディエンスが登場です。本作が録音されたのは「1984年9月21日バークレー公演」。日本公演もなく、あまり振り返られることも少ない“90125 TOUR”だけに基本からおさらいしてみましょう。 《1983年11月7日『90125』リリース》 ー約4ヶ月後ー ・1984年2月28日-5月15日:北米#1(61公演) ・1984年6月11日-7月26日:欧州(31公演)・1984年8月9日-10月1日:北米#2(41公演)←★ココ★ ー3ヶ月半後ー ・1985年1月17日-2月9日:南米(6公演) 以上、全139公演。これが“90125 TOUR”の全容です。新作リリースからたっぷり4ヶ月近く準備に費やせるほど余裕があり、実際に始まれば北米だけでも100公演以上。1つ前の“DRAMA TOUR 1980”が北米/ヨーロッパ合わせても65公演だったことを考え合わせると、いかに大成功を満喫していたかが分かろうというもの。そんな中で、本作のバークレー公演は「北米#2」の34公演目。全体で126公演目にあたるツアー後期のライヴアルバムなのです。そんな本作最大のポイントは、キャリアの頂点を究める大成功ショウ。その主軸は完全に「新作+ソロ」です。大ヒットアルバム『90125』の全曲が披露され、そこにCINEMA時代の「Make It Easy(当時は未発表)」や『9012LIVE: THE SOLOS』でもお馴染みな各人のソロタイムが挟み込まれる構成。クラシックYESのレパートリーも演奏されますが、「I’ve Seen All Good People」「And You And I」「Starship Trooper」「Roundabout」の4曲のみ。過去を否定することはないものの、あくまでも『90125』に焦点が定まっている。全曲とは言っても、曲順は異なるのでアルバム再現ではないのですが、それだけにショウが丸ごと「90125の世界」に染め上げられているのです。そして、もう1つの大事なポイントがサウンド。大成功期にもかかわらず音源に恵まれていない“90125 TOUR”ですが、そんな中で本作はツアーを代表するに足る極上サウンド。クリアな楽音はディテールまで鮮やかに描き出し、極太の芯は距離などないかのように目の前に迫る。実のところ、本作には大成功を証明する熱い熱狂も封じられているのですが、それさえも蹂躙し、制圧するほどに楽音が力強い。そのサウンドで描かれるトレヴァー・ラビンの輝く熱いギター。今年になって素晴らしきARWのショウで再評価が高まりつつあるラビンですが、その彼のキャリアでももっとも輝いていた演奏がたっぷりと詰まっているのです。もちろん、YESの刻印であるジョン・アンダーソン&クリス・スクワイアの歌声、そしてクリスのドライヴィング・ベースも克明に描かれる。70年代からプログレシーンの中でもHR寄りなドライヴ感を持つバンドでしたが、ラビン&クリスが揃う事で一層軽快感を増しています。ともあれ、『90125』の名曲群と大成功の薫り。現在のARWを始め、“ラビンYES”のツアーは他にもありますが、この輝きは“90125 TOUR”にしかない。その旨みを最大漏らさず味わえるライヴアルバムの大傑作。 Live at Greek Theater, Berkeley, CA. USA 21st September 1984 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(67:52) 1. Cinema 2. Leave It 3, Our Song 4. Alan Drum Intro 5. Hold On 6. Hearts 7. I've Seen All Good People 8. Si (Keyboard Solo) 9. Solly's Beard (Guitar Solo) 10. Changes 11. And You And I Disc 2(66:24) 1. Soon 2. Make It Easy 3. Owner Of A Lonely Heart 4. It Can Happen 5. Amazing Grace 6. Whitefish 7. City Of Love 8. Starship Trooper 9. Roundabout 10. Gimme Some Lovin' Jon Anderson - Vocals Trevor Rabin - Guitars Tony Kaye – Keyboards Chris Squire - Bass Alan White – Drums