本家YESと同じく、デビュー50周年を祝う記念ツアー“50TH ANNIVERSARY TOUR”を実施中のYES Featuring ARW。そんな彼らの最新・極上ライヴセットが登場です。本作に収められているライヴは2回分。「2018年8月26日ウェストハリウッド公演」の極上オーディエンス録音をディスク1-2に、翌「8月27日サンディエゴ公演」をディスク3-4に配した4枚組です。当店ではプロジェクトの始動直後から世界各国のショウを極上録音でレポートしてきましたが、50周年ツアーは『STONE FREE FESTIVAL 2018(Amity 460)』に続く2本目。まずは、2018年のツアー・スケジュールの中でショウのポジションを確認してみましょう。 ・6月3日-10日:欧州(5公演)・6月12日-17日:英国(3公演) ー約2ヶ月半後ー・8月26日-9月9日:北米(10公演)←★ココ★ これが現在までに公表されている日程。わずか18公演と小ぶりですが、大きく2つに分けられ、6月がヨーロッパ、8月-9月が北米ツアーです。『STONE FREE FESTIVAL 2018』は欧州レッグを代表する名作だったわけですが、それに対して本作は北米の傑作。ウェストハリウッド公演(ディスク1-2)は、ツアー再開に向けたウォームアップ・ギグで、サンディエゴ公演(ディスク3-4)は本格的な初日となる野外コンサートの模様です。始まったばかりの北米ツアーを最速レポートする本作ですが、それ以上に強力なのは素晴らしすぎるサウンド!実は両公演とも同じ録音家のコレクションなのですが、これがただ者ではない。近年、世界中のコレクターから注目を集めている名手「Tapehead2」氏なのです。プログレッシヴ・ロックの最新ショウを超極上のサウンドで録音しまくっており、当店でもロジャー・ウォーターズやデイヴ・ギルモア、ELO、スティーヴ・ハケット等の超傑作をご紹介してきました。特に最近作で忘れられないのは本家YESの『FILLMORE PHILADELPHIA 2018 1ST NIGHT』でしょうか。本作は、そんな現代の名手が公開した最新作セットでもあるのです。実際、今回もとんでもなくクリアな名録音。生々しい熱狂は紛れもなくオーディエンス録音なものの、いざ演奏が始まるや極太でオンな演奏音が真っ直ぐに飛び込む。しかも、ディテールがえらく鋭い。いや、決して耳に痛い鋭角な音ではないのですが、音の端々があまりにも鮮明で細かく、空間によるボケがまったく感じられないのです。もちろん、名手だからこその業なのでしょうが、今回はさらに会場も味方したようです。ウェストハリウッド公演(ディスク1-2)の現場は400人規模のクラブ“WHISKY A GO GO”で、サンディエゴ公演(ディスク3-4)は野外会場。その影響がサウンドにも現れ、前者は密室ならではの密着感が圧倒的に近く(ついでに観客の唱和も近い)、後者は野外ならではの反響ゼロな開放感たっぷり(しかも3列目センターという特等席!)。どちらも異なる個性ながら、極上の骨太サウンドに一役買っているのです。そんなサウンドで描かれるショウは、素晴らしきYESミュージックの夕べ。セットの骨子はこれまでと大きくは変わらないものの、マイナーチェンジもある。『FILLMORE PHILADELPHIA 2018 1ST NIGHT』でレポートした欧州レッグでは『TALK』の「I Am Waiting」で驚かせてくれましたが、この曲は北米でも継続。そこに『UNION』の「Lift Me Up」も復活しているのです。幾度か甦ってきた“90125ラインナップ”の名曲を散りばめ、より一層、歴史の総括感が高まったショウなのです。その総括セットを演じるパフォーマンスこそが楽しい。始動からもうすぐ丸2年になりますし、YES Featuring ARWとしても三桁の場数を踏んでいるだけにアンサンブルも呼吸感もばっちり………なのですが、完璧とは行かなかった。特に驚くのは初日のハリウッド公演。おおよそは本家YESよりも格段に安定感のあるショウなものの、最終曲「Roundabout」でリック・ウェイクマンが前半の決めソロで大崩れになる凡ミス。これにはリズム隊も驚きが隠せず、あわやアンサンブル全体が崩壊か!?となってしまうのです。何百回と弾き倒してきた定番中のド定番でも、やはり初日というのは何かが起きるものなのかも知れません。もちろん、シーンきっての大ベテランだけにすぐに立て直し、2日目は危なげなくこなします。“50周年”を掲げ、全米ツアーに乗り出したYES Featuring ARW。その最新セットを超極上サウンドで2公演たっぷり楽しめる大傑作ライヴアルバムです。日本では難しい狭いクラブの密着感も、広々とした野外の開放感も美味しい最新の銘品。いつもとはムードが違いながらも、やはり素晴らしいYESミュージックの夜。 Whisky A Go Go, West Hollywood, CA, USA 26th August 2018 TRULY PERFECT SOUNDHumphrey's By The Bay, San Diego, CA, USA 27th August 2018 TRULY PERFECT SOUND Live at Whisky A Go Go, West Hollywood, CA, USA 26th August 2018 Disc 1 (68:44) 1. Cinema 2. Hold On 3. I've Seen All Good People 4. Changes 5. And You And I 6. Rhythm Of Love 7. Perpetual Change 8. Lift Me Up 9. I Am Waiting Disc 2(57:10) 1. Heart Of The Sunrise 2. Awaken 3. Owner Of A Lonely Heart 4. Roundabout Live at Humphrey's By The Bay, San Diego, CA, USA 27th August 2018 Disc 3(69:25) 1. Cinema 2. Hold On 3. I've Seen All Good People 4. Changes 5. And You And I 6. Rhythm Of Love 7. Perpetual Change 8. Lift Me Up 9. I Am Waiting Disc 4(61:34) 1. Heart Of The Sunrise 2. Awaken 3. Owner Of A Lonely Heart 4. Roundabout Jon Anderson - lead vocals Trevor Rabin - guitars Rick Wakeman - keyboards Lee Pomeroy - bass Lou Molino III - drums