1970年代の後半から80年代前半にはイーグルスを始めとしたアメリカ西海岸のアーティストが日本で大変な人気を誇っていました。1977年にはジャクソン・ブラウンやJD・サウザーが懐かしの「ローリング・ココナッツ・レビュー」の二日目に参加して西海岸の風を日本に運んでくれましたし、1979年にはリンダ・ロンシュタットが来日して大きな盛り上がりをみせた。今となってはどれも懐かしい来日イベントばかりです。こうした流れを引き継いだかのような豪華な来日イベントが1981年に行われています。それが「THE CALIFORNIA LIVE」。今となってはあまり語り継がれることもなくなった感のあるイベントですが、ここにはJDやリンダ、さらにジェームス・テイラーが出演し、文字通りカリフォルニアのアーティストたちが日本で一堂に観られるという非常に豪華なイベント。関東と関西で一回ずつの公演が行われた本イベントで時代を感じさせるのが、何と言っても横浜スタジアムと甲子園という使用会場。今なら横浜アリーナと大阪ドームという会場選択になるのでしょうが、1981年といえば日本でもライブがスタジアムで積極的に行われ始めた時代。今回は二回行われた「THE CALIFORNIA LIVE」の内、9月11日に行われた横浜公演の音源をリリースいたします。天候に左右されないアリーナの登場によって同じ横浜でもスタジアムを使った洋楽ライブが行われることがなくなってしまいましたが、当時と言えば正に積極的にライブ会場として使われていたのが何とも懐かしい。この会場に西海岸の一流アーティストが集まったライブが行われていたというのも、今となっては非常に貴重なイベントであったのだと痛感させられずにはいられません。その幕を開けたのは、これまた懐かしいカリフォルニア職人バンドのRonin。リンダのバックを務めていたワディ・ワクテルやダン・ダグモアを中心に結成されたバンドであり、武士「浪人」から取られたバンド名ゆえに日本でも注目を浴びていたのがまた懐かしい。どの曲もストーンズ風リフにウエストコースト調メロディという独特のロック・ナンバーで、なるほど後にワクテルがキース・リチャーズのバンドに加わるのも納得といったところかと。リードボーカルやMCも彼が全編務めていますが、フロントマン慣れしていない職人ギタリストゆえ、常に絶叫調のMCというのが聞いていて面白い。また彼はこの後のアーティストのバックでも加わっており、実質的に出っぱなし状態でした。いわば前座的なRoninの演奏に続いて最初にのスターとして登場したのはJD・サウザー。彼の音楽性がそうであったように、ここで演奏された曲も7割がゆったりメロウな調子。当時はストレートなロックよりも「オネスティ」や「イェスタディ」が圧倒的に支持された昭和の日本。おまけに演奏に聞き入る人種ということもあり、彼のメロウな曲調が夕方のスタジアムに響き渡る様子は本当に気持ちいい。おまけにJDのステージからはダニー・クーチマーやリー・スクラー、そしてラス・カンケルといった名手たちが登場。出演アーティストだけでなく、バックのミュージシャンもウエストコーストの超一流ミュージシャンが集結した豪華なイベントだったのです。このイベントを前半と後半に分けるとすれば、後半の始まりというべきがリンダでしょう。甲子園では彼女とJDの出演順が入れ替わっていたのですが、前半が職人や玄人向けソングライターで後半が華のあるスターという横浜スタジアムの構成の方が良いのでは。ましてや当時のリンダは人気絶頂。前年にアルバム「MAD LOVE」を大ヒット(日本で一番売れた彼女のアルバム)させ、同アルバムからのエルヴィス・コステロ作「Party Girl」などを散りばめたセットリスト。当時のコステロは一般の音楽ファンへの知名度はまだまだでしたので、リンダが曲をカバーしたことで彼を知らしめた功績は大きい。またホリーズのバージョンも有名な「I Can't Let Go」もまた「MAD LOVE」からのナンバーですが、ここではこれまた懐かしのローズマリー・バトラーがリンダと共に歌っています。彼女が「汚れた英雄」のテーマを歌う一年前のこと。そしてライブ終盤「Poor Poor Pitiful Me」になるとリンダは「ヨコハマ」を盛り込んで歌う余裕が頼もしい。トリを務めるのがジェームス・テイラー。彼の場合はこの年に「DAD LOVES HIS WORK」のリリースとヒットによって最初の商業的ピークが終わりを迎えた時期。よって絶頂期は過ぎつつマイペースな活動へと移る直前でもあったのです。そのせいかリリースされたばかりだった最新アルバム「DAD LOVES~」からは「Her Town Too」一曲しか演奏されませんでした。もちろんアルバム・バージョンと同様にJDとのデュエット。イベント・ステージのトリだということもあったのでしょうが、結果としてニューアルバムのプロモートよりも、それまでのテイラーの名曲をズラリと並べた文句なしの「ベスト・オブ」セット。むしろ70年代をリードしたアーティストの一人としての王者然としたステージングが圧巻でした。ちなみにこのイベントはピーター・アッシャー・プロデュースの元で行われましたが、そもそも出演アーティスト全員がアッシャーのプロデュースやコーラスでの参加といった関わりを過去のレコーディングで持っており、いわば「アッシャー」つながりイベントでもあったという。ピーター&ゴードン、あるいは「愛なき世界」のイギリス人アッシャーが70年代にはウエストコースト・ロック界において絶大な影響力を持っていたことを示すイベントでもあったのです。最後はイベントらしくテイラーの音頭からチャック・ベリーの「Rock & Roll Music」を出演者総出にて演奏。リードボーカルはテイラー~ワクテル~JD~リンダの順番で交代しながら歌っているのがフィナーレらしくて楽しい光景です。このあまりにも懐かしいイベントを捉えてくれたのは、これまでにも別格のクオリティでさまざまな日本公演を録音してくれたおなじみのテーパー。これまでもハイレベルな日本公演のオーディエンス録音を提供し続けてくれましたが、今回の音源はその中でも間違いなく上位(もしかしたらトップ)に君臨するであろう驚異の音質。もはや「オンな音像」やら「クリアネス」といった表現すらいらなくなる、まるでバンドが目の前にいるかのような凄まじい録音状態。仮にこの音源がリアルタイムでリリースされていたとしたら、確実にサウンドボードだと誤解されたであろう、これぞ別格のクオリティ。その最高の音質で蘇る37年前の9月の熱きカリフォルニアン・ナイト。大音響で鳴らせば1981年の横浜スタジアムにタイムスリップ間違いなし!サイコー! Live at Yokohama Stadium, Yokohama, Japan 11th September 1981 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1(30:40) RONIN 1. America The Beautiful 2. Here Come The Runner 3. Hey Nadine 4. Band Introductions 5. Love's Coming Into My Life Again 6. Up On The Cross 7. Feels Right Disc 2 (47:32) J.D. SOUTHER 1. Intro 2. Simple Man, Simple Dream 3. Banging My Head Against The Moon 4. Mexico 5. Silver Blue 6. Prisoner In Disguise 7. Band Introductions 8. You're Only Lonely 9. If You Don't Want My Love 10. Home By Dawn 11. Trouble In Paradise 12. 'Til The Bars Burn Down 13. James Dean Disc 3 (56:23) LINDA RONSTADT 1. Intro 2. Mad Love 3. It's So Easy 4. Party Girl 5. Willin' 6. I Can't Help It (If I'm Still in Love With You) 7. I Can't Let Go 8. Blue Bayou 9. Faithless Love (with J.D. Souther) 10. Hurt So Bad 11. Poor Poor Pitiful Me 12. You're No Good 13. How Do I Make You 14. Back in the U.S.A. 15. Desperado Disc 4 (64:09) JAMES TAYLOR 1. Intro 2. Sweet Baby James 3. Wandering 4. Riding on a Railroad 5. It's Gonna Work Out Fine 6. How Sweet It Is 7. Fire and Rain 8. You've Got a Friend 9. Her Town Too 10. Your Smiling Face 11. Mexico 12. Country Road 13. Up on the Roof 14. Steamroller 15. Rock & Roll Music (with All) RONIN Waddy Wachtel - Vocals, Guitar Dan Dugmore - Guitar Rick Marotta - Drums Stanley Sheldon - BassJ. D. SOUTHER LINDA RONSTADT JAMES TAYLOR Waddy Wachtel - Guitar Danny Kortchmar - Guitar Billy Payne - Keyboards Kenny Edwards - Bass Bob Glaub - Bass Leland Sklar - Bass Russell Kunkel - Drums Rosemary Butler - Vocals David Lasley - Vocals Arnold McCuller - Vocals
Various Artists James Taylor,Linda Ronstadt,J.D. Souther,Robin/Kanagawa,Japan 1981
1970年代の後半から80年代前半にはイーグルスを始めとしたアメリカ西海岸のアーティストが日本で大変な人気を誇っていました。1977年にはジャクソン・ブラウンやJD・サウザーが懐かしの「ローリング・ココナッツ・レビュー」の二日目に参加して西海岸の風を日本に運んでくれましたし、1979年にはリンダ・ロンシュタットが来日して大きな盛り上がりをみせた。今となってはどれも懐かしい来日イベントばかりです。こうした流れを引き継いだかのような豪華な来日イベントが1981年に行われています。それが「THE CALIFORNIA LIVE」。今となってはあまり語り継がれることもなくなった感のあるイベントですが、ここにはJDやリンダ、さらにジェームス・テイラーが出演し、文字通りカリフォルニアのアーティストたちが日本で一堂に観られるという非常に豪華なイベント。今回の音源は間違いなく上位(もしかしたらトップ)に君臨するであろう驚異の音質。もはや「オンな音像」やら「クリアネス」といった表現すらいらなくなる、まるでバンドが目の前にいるかのような凄まじい録音状態。仮にこの音源がリアルタイムでリリースされていたとしたら、確実にサウンドボードだと誤解されたであろう、これぞ別格のクオリティ。その最高の音質で蘇る37年前の9月の熱きカリフォルニアン・ナイト。大音響で鳴らせば1981年の横浜スタジアムにタイムスリップ間違いなし!サイコー!