『NEWPORT JAZZ FESTIVAL IN MADARAO 1984』『LIVE UNDER THE SKY '86』に続く、ジャズのお宝映像の第3弾が登場です。これまではフェスティバルのレポート番組をお贈りしてきましたが、今回の主役はリンダ・ロンシュタット。彼女は1979年・1981年・1984年の三度日本を訪れましたが、本作に収められているのは最後の来日である「1984年4月3日:横浜公演」です。このコンサートは当時の某民放局でダイジェスト放送されており、それを国内の録画マニアがエアチェック。大切に保存されていたマスターからダイレクトにデジタル化いたしました。その映像は、ヴィンテージ感が実に素晴らしい。前2作に比べるとやや粒子感がありますが、ダビング痕もヨレもない保存状態で当時の放送が生々しく蘇るのです。その映像美で描かれるのは、“1984年”そのもの。この時のリンダはいわゆる“スタンダード3部作”期の始めにあたり、その第1弾『WHAT'S NEW』と第2弾『LUSH LIFE』のちょうど間の時期。大御所ネルソン・リドルと彼の楽団をバックに、当時37歳のセクシーな歌声でスタンダード・ナンバーを歌い上げるのです。その『WHAT'S NEW』の「What'll I Do」や次作『LUSH LIFE』に収録される「Sophisticated Lady」、さらにイーグルスのカバー「Desperado」等、オフィシャル作品『IN CONCERT: WHAT'S NEW』でも聴けないナンバーもマルチカメラのプロショットで観られるのです。さらに、その歌声やビッグバンドの調べだけでなく、ショウ自体も実に80年代前半のムードが漂う。特に面白いのは「Falling In Love Again」。リンダの「お月様、出てきて」の一言に合わせて三日月形の椅子が登場、それに座って歌う……はずだったのですが、ここでトラブル。リンダがいくら待っても月が出てこないのです。「内気なお月様でステージ慣れしてないのよネ」とMCで繋いでいると、ようやく天井から降りてきた……かと思いきや、ギクシャクとした動きで途中で止まってしまう。リンダは爆笑しながらも困った様子で「もう少し降りてきてちょうだい。私の身長は5フィート3インチなのよ!」「アッ!! また上がっちゃった」「もしかして英語が通じないのかな。日本語でどう言えばいいの」と、大混乱になってしまう。しかも、この月の椅子がチャチでして、どう見ても日本のベスト10番組か、8時の集合番組のセットレベル。現代のショウビズであれば、予定通りに行かなくてもそのまま歌い出してミスを感じさせないところなのですが、なんともトホホなドタバタを隠しもしないのです。しかも、このドタバタは後を引いてしまう。なんとか月に乗って歌う(これほど不手際なのに乗って大丈夫!?)ものの、降りる際にはリンダが吹き出して歌声もヨレヨレ。ここで笑いのスイッチが入ってしまったのか、「What'll I Do」でのシャボンの演出にも爆笑してしまい、まったく歌えなくなってしまうのです。「もう一度、始めからやらせて」「私もプロでとしてTVに出ているんだから」と言いながらも爆笑。涙を拭き、目を閉じてシャボンを無視してなんとか歌い切る……。演出の古めかしさ、そしてショウの大らかさ。ファッションや髪型以上に時代感が滲む名シーンの連続です。さらに時代感漂うのが、数々のCM群。世界最強の消防車がカメラの喧伝をするかと思えば、女子高生がなぜか砂浜で参考書を開き「青春って方程式みたいにちょっぴり複雑……」と言葉を漏らす。ダイエット系コーラが新発売だったり、「ミルクが透明になった」等という得体の知れないドリンクが出てきたり、「なに?サスケ?」だったり。もはや、味も覚えていないものだらけ。出てくるタレントも意味不明なエアロビ姿やら、元祖ぷっつん女優やら。お笑いビッグ3の一角がツクツクホーシに扮するわ、ロサンゼルス五輪のマスコットだわ……。もう懐かしいのか、異世界なのかさえ分からなくなるカオスを見せつけてくれるのです。リンダの美貌と美声、ビッグバンドが綴るスタンダードナンバー、トホホな演出、そして数々の懐かCM……そのすべてから“1984年”の香り立つ1枚です。33年前のブラウン管に映し出されていた、ある音楽番組の一部始終。
Live at Kanagawa Kenmin Hall, Yokohama, Japan 3rd April 1984 PRO-SHOT (52:55)
1. Intro. 2. What's New 3. CM 4. Guess I'll Hang My Tears Out To Dry 5. Sophisticated Lady 6. Falling In Love Again 7. CM 8. Kalamazoo 9. Dream 10. CM 11. What'll I Do 12. Lover Man 13. CM 14. Band Introductions 15. Good-Bye 16. Desperado 17. CM
Nelson Riddle - Arranger, Conductor Don Grolnick - Piano John Guerin – Drums Bob Magnusson - Bass Bob Mann - Guitar Plas Johnson - Tenor Liza Edwards – Chorus Elizabeth Lamers - Chorus Red Young - Chorus, Piano
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 53min.





























