大好評の廃盤映像の復刻シリーズ、最新弾はウリ・ジョン・ロートです。本作はジミ・ヘンドリックス・トリビュート作『THE SPIRIT OF JIMI HENDRIX LIVE IN CONCERT』。このコンサートが行われたのは「1991年4月25日ケルン」のことでした。ウリのキャリアには1986年のELECTRIC SUN解散から1995年のソロ再開まで“失われた10年”があったわけですが、本作はそのちょうど真ん中。雲隠れしていた仙人がホンの少し顔を見せた映像として知られていた映像です。当時からテレビ放送されてブートレッグも出回ったものの、1994年には正規にソフト化。しかし、その後一切デジタル化されずに歴史の闇に消えていました。本作はソフト化されたもののうち、最高峰クオリティとして知られる日本盤レーザーディスクから復刻しました。これまでのシリーズと同様、大元には国内コアコレクターが秘蔵していたミントクオリティ盤を使用し、海外のアナログ映像専門メーカーによってハイエンド環境でのデジタル化です。その映像美は、今回も“史上最高峰”を断言するに相応しいもの。四半世紀以上前のテレビ収録が元なだけに編集が荒っぽかったりもするのですが、肝心の映像美は編集のチープさとは真逆。VHS規格を超える画質、走行ムラのない動き、劣化・ノイズゼロの艶やかな質感は、まさにレーザーディスクの独壇場。デジタル大全盛の現代の眼にも美しい光景が1点の曇りもなくたっぷりと堪能できるのです。そして、そのクオリティで描かれるライヴは、脂の乗りきった天才ギタリストの旨み全開。タイトル通り、このショウはジミ・ヘンドリックスに捧げられ、全曲がジミのカバー。ラストの「Atlantis」にしてもウッドストックの「Villanova Junction Blues」をベースにした即興曲です。ウリ本来のクラシカルで壮大な世界ではないわけですが、だからこそ“ギタリスト:ウリ”の冴えがクッキリと浮かび上がる。スカイギターのフラッグシップ・モデルとも言える5号機“DESTINY”を手に、天翔るフレーズを存分に聴かせてくれるのです。そんなウリを囲む演奏陣がまた豪華。実弟ジーノ・ロートの相棒マイケル・フレクシグの他にも、サイモン・フィリップスにジャック・ブルース、ジョン・ウェットンといった英国の重鎮が参加。ジャックやウェットンとサイモンのリズム隊だけでも素晴らしいのに、ウェットンは「All Along The Watchtower」で、ジャックは「Spanish Castle Magic」「One Rainy Wish」「The Wind Cries Mary」「Angel」で歌声も披露。特にジャックはCREAMでジミのEXPERIENCEとライバルでもあった間柄。その彼だからこそ漂う“60年代ムード”と、ジミの魂が乗り移ったようなウリのギターが絡み合う……凡百のジミ・トリビュートとは格の違う演奏がタップリと味わえるのです。もちろん、フレクシグはバツグンに巧いですし、ロシア出身の女性シンガー:ジュール・ナイジェルもセクシーに歌いこなす。ジミの曲であれば、ウリ本人が歌っても許されるところですが、名シンガー達に任せているおかげでショウ全体がカラフルになり、スカイギターの美しさが一層引き立つのです。また、選曲も実にウリらしい。ジミのオールキャリアをリスペクトしているウリですが、彼の持論は「ジミは『AXIS: BOLD AS LOVE』以降に開花した」というもの。実際、本作でも『AXIS: BOLD AS LOVE』『ELECTRIC LADYLAND』の2作を軸に後期が多く、『ARE YOU EXPERIENCED』からは3曲だけ。それも普通なら外せない「Foxy Lady」や「Hey Joe」さえないというこだわりのセットなのです。そんなウリ以上に“ジミが憑依してる”のが、もう1人のギタリスト/シンガー:ランディ・ハンセン。ジミのコスプレのようにソックリな出で立ちの黒人がいる……と思いきや、実は彼は白人。ラッツ&スターのように黒塗りしているのです。日本人向けの邦楽ならいざ知らず、外国人がこんなことやったら大顰蹙を買いそうですが、そんな声を黙らせるのが憑依級のギター。ジミが偶然出した音までコピーする徹底ぶりで、その気迫はヴォーカルやパフォーマンスからも滲み出て画面から溢れんばかり。その異形の憑依者はウリさえも圧倒。彼が全面に出てくる曲では、ウリさえもが敬意を払うようにバッキングに回ります。ロビン・トロワーやフランク・マリノと並び、ジミ・フォロワーの代表格として名前の挙がるウリ・ジョン・ロート。彼の“ジミヘンへの想い”が爆発したオフィシャル映像を、史上最高峰クオリティで蘇らせた1枚。魂のスカイギターが駆け巡る大傑作。どうぞ、たっぷりとお楽しみください。 Live at E-Werk, Cologne, Germany 25th April 1991 PRO-SHOT (100:11) 1. Intro 2. Gypsy Eyes 3. If 6 Was 9 4. Spanish Castle Magic 5. One Rainy Wish 6. The Wind Cries Mary 7. All Along The Watchtower 8. House Burning Down 9. Have You Ever Been (To Electric Ladyland) 10. Castles Made Of Sand 11. Little Wing 12. Axis: Bold As Love 13. Voodoo Chile (Slight Return) 14. 3rd Stone From The Sun 15. Crosstown Traffic 16. In From The Storm 17. Who Knows 18. Message Of Love 19. Hey Baby 20. Angel 21. Purple Haze 22. Atlantis Acoustic Guitar - Peter Bursch Backing Vocals - Jane Palmer, Jule Neigel, Nadja Ollig, Tobias Stachelhaus Bass - Francois Garny, Jack Bruce, John Wetton Drums - Herb Quick, Simon Phillips Guitar - Randy Hansen, Uli Jon Roth, Zeno Roth Keyboards - Oliver Hennlich Music Director - Uli Jon Roth Violin - Manni Neumann Vocals - Jack Bruce, John Wetton, Michael Flexig, Randy Hansen 100min. Dolby 2.0 Stereo 4:3 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.100min.