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John Lennon ジョン・レノン/Japan TV Broadcast 1992

先日リリースされ、大好評を賜った『PRE・STAGE Presents JOHN LENNON TRIBUTE 1990』。その第2弾とも言うべきジョン・レノン追悼番組が登場です。前回作はジョンの死去10年となる1990年に放送された追悼番組でしたが、今回はその2年後。「1992年12月8日」に民放局で放送された“M10(マグニチュード・テン)”です。 番組名からして現代ではあり得ない時代のインパクトですが、中身も強力。本作は追悼番組が始まる前のCMから収録されているのですが、ここからもうド肝を抜かれる。30秒のミニ番宣CMでアナウンサーが爽やかに紹介するのが……「カメラは見た!すべて初公開!! 誰も知らない北朝鮮」 これは潜入報道ではありません。ナレーションが語るのは「誰もが気軽に旅行できるようになり、今やグルメに観光にと様々な面で注目を集める北朝鮮を初体験!」。完全に旅行ガイドなのです。実のところ、左寄りで知られる民放局ではあるのですが、これはさすがに忘れたい黒歴史でしょう……。いきなり核兵器級インパクトの番宣で始まる本作ですが、本編の追悼番組の濃厚。前作『PRE・STAGE』もマジメなつくりでしたが、本作はさらに濃い。司会こそ番組レギュラーのお笑いタレントとバスロマン・タレントがトゥギャザーしていますが、ゲストは完全音楽系で、ジョンの音楽クリップを流しつつ語り合う。ジョンと個人的にも親しかった日本人カメラマン、音楽ジャーナリストに加え、ソ連の独裁者をバンド名にするパンクスやブレイン・ポリス、ソロになったばかりのダイヤな愉快さん等々。あるゲストはジョン・レノンの存在そのものを分析し、バンドマンたちはビートルズとの出会いや訃報に触れた瞬間を振り返る。中には自分のキャラ付けしか考えてないような人もいるものの、ステージで暴れている姿からは想像できないような真摯なコメントでジョンへの想いを熱く熱く語るのです。「ジョンはのめり込みの激しい普通の人」「初期ビートルズはパンク」「Love & Peaceは違うと思った」等々、各人の“ジョン像”には「なるほど」と思ったり、画面に向かって「そりゃ違うだろ」と言いたくなったり。そのどちらにせよ、観ているこちらがズッこけるのではなく、真剣に耳を傾けたくなる真摯な言葉が綴られるのです。さらに前作と異なるのは、わずか2年で様変わりした世界の空気。例えば、ロシア人の音楽ジャーナリストも参加しているのですが、彼は“共産圏にとってのジョン”を語る。60年代には東西対立がどんなに強くてもジョンのファンが多くいた事、人々がビートルズのLPをブラックマーケットで買っていた事、「Imagine」や「I Don't Want To Be A Soldier」「Give Peace A Chance」などの具体的な曲名を挙げて共産党指導部が注目していた事、1980年にジョンの死亡記事を書いたときは「アメリカでは犯罪が増えている」というプロパガンダにしなければならなかった事……。冷戦の終結直後だった1990年ではなく、それが確実になった1992年だからこそ“共産圏のロック事情”がリアルな証言で明かされていきます。それ以上に“2年”の重みを感じるのは、番組の要コーナーでもあるオノ・ヨーコとの国際電話インタビュー。司会者の「ヨーコさんとこうやってトゥギャザーできるなんて嬉しいな」が彼女に通じているのか不明ですが、会話の内容は“1992年”が特濃。湾岸戦争やユーゴスラビア紛争、ソマリアへの多国籍軍派遣、ネオナチの台頭など、1991年を境にガラッと変わった世界を憂い、「今、ジョンが生きていたら何をしたのか……」を語り合うのです。前作『PRE・STAGE』は、世界が変わる“1991年”を経験する直前の日本でした。それに対し、本作からは今まさに激しく揺さぶられている日本が透ける。もの凄い切れ込みのハイレグ水着やジュリアナ東京のコンピCDにはバブルの残り香が漂う一方、「アフター・バブル」や「不況」といった言葉が口を付き、流行のアイテムもスウォッチやインラインスケートといった安価なもの。本作の真摯な語り口も、浮かれてはいられない世情が言わせているのかも知れません。そんな空気がたゆたう中で平和を願うジョンの音楽が流れ、Fカップのバスロマンさんが「“War is over”って想いを受け継いでいきたいですよね」と言って幕を番組は閉じます。前作がキナ臭いながらも平和な“今”にシンクロする番組だとすれば、本作はこれから激変するかも知れない“未来”を垣間見せてくれるのです。たった“2年”で空恐ろしくなるほど変わった1992年の日本。これから変わる予感が拭えない2017年の日本。本作もまた、今だからこそジョンのメッセージが胸に迫る傑作なのです。 Broadcast Date: 8th December 1992 1. CM 2. Opening 3. Introduction 4. Studio 5. John Lennon Memorial Event 6. Power To The People 7. CM 8. Biography/Studio 9. CM 10. Slippin' And Slidin' 11. Studio 12. Stand By Me 13. CM 14. Mind Games 15. Studio 16. Jealous Guy 17. CM 18. Mother 19. Telephone Interview with Yoko Ono 20. Woman 21. CM 22. Imagine 23. Studio 24. Happy Xmas (War Is Over) 25. CM 26. Studio 27. CM PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.87min.

John Lennon ジョン・レノン/Japan TV Broadcast 1992

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1,630円 (税込)

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