温故知新で、それぞれの分野において功績を残した人物を顕彰する事は大切である。例えば日米それぞれ野球の殿堂というものがあり、国家には褒章がある。最近乱発気味の国民栄誉賞もそのひとつであろう。そしてロックの歴史もそれなりに年月を重ね、功績を残したミュージシャンを讃える制度としてロックの殿堂なるものが1986年に創設された。このロックの殿堂は既に30年以上の伝統を誇る。ロックの精神と受賞なる体制的なものとはそぐわない感じもするが、純粋にその人の功績を讃えるという意味でミュージシャンたちも光栄に感じているようだ。ロックの殿堂入りの資格としては25年以上のキャリアがあるミュージシャンを対象とし、受賞時に故人であっても不問である。歴代の受賞者を見ると、賞の性格上ロック草創期のチャック・ベリーやファッツ・ドミノなどオールディーズ系のミュージシャンから順に、時代を辿る形で受賞されているのがわかる。そして60年代から活動をしているビートルズ及びメンバーもまた、かなり早い時期に受賞しているミュージシャンのひとつである。賞が創設されてから3年目の1988年にバンドとしてビートルズが殿堂入りしたのを皮切りに、個々の4人それぞれがソロとしても殿堂入りしている。バンドのみならず、メンバー全員がそれぞれ別に殿堂入りしている例は他になく、ここでもビートルズの特異性を見る事ができる。 【1988年 ビートルズ】 まず最初に殿堂入りしたのはバンドとしてのビートルズである。プレゼンターとしてビートルズを紹介するのはミック・ジャガー。Steel Wheels Tourより前とあって現在の目で見ると容姿が非常に若々しい事に感慨を覚える。そしてミック自身がビートルズをこのように饒舌に語る場面も珍しい。ユーモアを交え、笑いを誘いつつ、自分とビートルズとの想い出を語っている。そして「Got To Get You Into My Life」の華やかな演奏と共に登壇するのはジョージ、リンゴ、ヨーコ、ジュリアンにショーンの5人。おそらくポールは敢えて不参加なことで、いらぬ邪推を避ける判断をしたのだろう。リンゴとジョージが最初に代表でスピーチを行ない、ヨーコ、ジュリアン、ショーンの順に挨拶を述べている。気難しい印象のあるジョージも受賞を喜んでいるのであろう「あまり話すことは苦手でね。なにせ僕は『静かなビートル(Quiet Beatles』と呼ばれていたくらいだから」と笑いを誘っている。 授賞式では受賞者がパフォーマンスをするのが恒例となっているが、当然1988年にはビートルズは存在しないわけで、代替として数多くのミュージシャンによるセッションが行なわれた。ステージ上を見渡すと、今となってはあり得ない光景となっていて驚かされる。ジョージ、リンゴ、ジェフベック、ミックジャガー、ディラン、ビリージョエル、ビーチボーイズ、スプリングスティーン、エルトンジョン、ニールヤングなどなど、ひとりひとり挙げていてはキリがないほど、それぞれ歴史に名を成しているメンバーである。 1曲目は「Twist And Shout」である。まだステージ上は混雑して準備が整っていない中で演奏が始まったようである。2曲目はディランの「All Along The Watch Tower」である。長いイントロの後、まだギターのセッティングが終わっていないディランをチラ見しながら、ジョージがまず冒頭の歌詞を歌い、準備が出来たところでディランにバトンタッチしている。ひとつのマイクでジョージとディランが歌っている姿がカッコイイではないか。続いて演奏されるのは「I Saw Her Standing There」である。ヴォーカルを採るのはビリージョエルとミックジャガー。ミックが「I Saw Her Standing There」を歌うという何とも奇妙な光景。ふ~の部分でジョージはビートルズ時代のようにわざと首を振って髪を揺らしているのが微笑ましい。2番の歌詞はスプリングスティーンが担当している。ミックにせよスプリングスティーンにせよ、このようにオリジナルに囚われない独自色を出した歌唱は聴きどころのひとつであろう。「Stand By Me」はベンEキングがメイン・ボーカルを務めるのだが、途中でジョンの面影を色濃く残したジュリアンを横に呼び、ほらオマエも歌えと促す場面にはホロリとさせられる。「Like A Rolling Stone」はディランとミックがステージ中央に並んで歌っている。ローリング・ストーンズが公式に「Like A Rolling Stone」をレコーディングするのはこの数年後であるが、意外やこの時の演奏が契機となっているのではないだろうか。そして最後は「Satisfaction」である。ここまで他の曲でも大ハリキリだったミックの最大の見せ場であろう。この時ストーンズは活動を休止しており、ミックがソロでツアーをしていた時期である。ここでもサブ・ボーカルとしてスプリングスティーンが一緒に歌っている。本作にはこの時の映像が収録されている。それぞれのアーティストの、古い表現で申し訳ないが「夢の共演」「歌のホームラン」のような演奏を楽しんで欲しい。特に映像は充実しており、DVDのディスク1には全体を映したカメラによる正面からのショットで完全収録。そしてディスク2にはステージ下部から各メンバーを接写した間近ショットをメインとしたマルチカメラで完全収録している。 【1994年 ジョン・レノン】 この年は、ビートルズのメンバーでまず最初にジョンが殿堂入りを果たした。プレゼンターを務めたのはポールである。ミュージシャンとしてのジョンを語るのにポールほど相応しい人物はいまい。ジョンと初めて出会った時の話から、ジョンの母ジュリアの想い出、初めて一緒に作曲した時の事など、ビートルズの歴史を知るファンであるならお馴染みの話ではあるのだが、本人の口からそれを聞くというのはまた格別の思いがある。この時期のポールはニュー・ワールド・ツアーを終えたばかりで、おそらくビートルズ・アンソロジーの制作に入っていたからであろう、想い出を語る口調に澱みがない。そしてポールの紹介によりヨーコとショーンが登壇する。おそらく公の場でポールとヨーコが並ぶのはビートルズ解散後初めての事であろう。常に不仲が囁かれていたポールとヨーコが壇上で抱き合う姿を見て、この時、古くからのファンは感慨深く思ったのではないだろうか。ポールとヨーコの関係というのは現在に至ってもよくわからないが、少なくとも公の場でこのように振る舞う事が出来る程度ではあるということだろう。実はこの年にポールとヨーコが邂逅したのは歴史的にも非常に重要な意味を持つ。授賞式とは別にポールとヨーコとショーンの3人は記者会見に臨んでいる。その場で、ポールとヨーコの口からビートルズのドキュメンタリーを制作中である事が明らかにされる。これぞ後にアンソロジーとして結実するプロジェクトの発表であった。そして、まさにこの日のこの時、ポールがヨーコに打診をし、アンソロジーのためにジョンの未発表曲があれば提供して欲しいと依頼したのである。それが「Free As A Bird」と「Real Love」であった。本作には授賞式におけるポールのスピーチ、そしてその後のヨーコとショーンと共に行なわれた記者会見の様子が収録されている。残念ながらこの時はパフォーマンスは行なわれなかった。 【1999年 ポール・マッカートニー】 この年は、ジョンに続いてポールが殿堂入りに選ばれた。プレゼンターは深く親交のあるニール・ヤングである。口下手で硬派のニールが、ビートルズの歌の題名をスピーチに盛り込みユーモアを見せているのも、受賞者が他ならぬポールだからであろう。客席にはジュリアンやボノ、スプリングスティーンの姿も見える。その後ポールの歴史を辿る短い映像が流され、いよいよポールの登場である。襟のないシャツにジャケット姿のポールは、前年のリンダの死を経て少し元気がなさそうな印象を受ける。覇気が希薄で声も幾分かすれ気味である。ロックの殿堂のミュージアムはクリーブランドにあり、そこはリンダの母が生まれた都市であり、授賞式が行われているニューヨークはリンダの故郷である旨を語り、客席にいたステラを一緒に登壇させている。この時ステラは何かのプロテストの意味であろうか、胸に大きく放送禁止用語が書かれたタンクトップを着用していたため、映像ではボカし処理がなされている。ちょうどリンダの闘病と死を迎えた直後で、ここ数年は公の場で演奏する機会がない時期であったため、久しぶりのポールのステージとなった。キャバンクラブのライブはこの年の年末である。まだ自身のバンドを持っていなかったポールは、ゲスト・ミュージシャンをバックに自分では演奏せず幾分手持無沙汰のようにボーカルだけで参加している。1曲目は「Blue Suede Shoes」である。自身の原点となった曲であるとの紹介の後、リンダの死後初めてのステージ復帰である。短髪のクラプトンが黙々とソロを弾いているのが印象的である。続いてビリージョエルがオルガンの前に座り「What’d I Say」を歌い始める。露祓いをビリーが行なった後、2番をポールが歌う。3曲目は「Let It Be」である。ここでもポールはボーカルに専念し、ピアノはビリージョエルが担当している。曲が一旦終わった後、再びリフレインが付与され、後半が非常に盛り上がる曲構成にアレンジされている。余韻を楽しみ、曲が終わるのを惜しむかのように再びポールが歌い出す感動的なフィナーレとなっている。この時にポールはオリジナル曲ではなく敢えて「Blue Suade Shoes」と「What’d I Say」という自分が好きだったオールディーズを歌っている。リンダの死後ひしがれていた気持ちが立ち直るきっかけとなったのは自分の原点であると考えたのだろう。この後、オールディーズのカバー集『Run Devil Run』をレコーディングし、キャバンクラブで1度きりのライブを行ない、リハビリ的なセンチメンタル・ジャーニーを行なっている。そしてヘザーミルズと出会い再びツアーに出る直前である。歴史は常に連続性の上に成立しているのが理解出来るだろう。本作にはこの時のニールのスピーチ、ポールが娘のステラを登壇させ行なったスピーチ、そして授賞式で披露された3曲を完全収録している。 【2004年 ジョージ・ハリスン】 ジョンとポールに続いてジョージもまた、この年に殿堂入りが決まった。最初に生前のジョージの映像がダイジェストで放映される。数々のステージ映像やインタビューなどで構成されたこの時のためのジョージの歴史を辿る映像作品である。そしてプレゼンターとしてスピーチを行なうのは、これもまた現在は故人となってしまったトム・ペティである。隣にはジェフ・リンが一緒に立っている。残念ながらジョージはこの時既に鬼籍に入っており出演はかなわなかったが、名代としてオリビアとダーニが授賞式に出席している。受賞者に代わりスピーチを行なうのはそのダーニとオリビアである。DNA鑑定不要のジョージの若き頃と全く同じ顔をしているだけでなく、その声もまたジョージの声とそっくりである。そして受賞記念ステージは、個人的には本作のセットで最も見応えのあるものである。トム・ペティとジェフリンをメインとしたバンドでウィルベリーズの「Handle With Care」でショウは開幕する。トム・ペティがオリジナルのまま歌っているのは勿論だが、オービソンのパートをジェフ・リンがまるでモノマネのような澄んだ声で歌っているのである。この器用さに驚かされる。そしてダーニはボーカルを採ることなくギターとバックコーラスに終始している。ウィルベリーズとしてコンサートは一度も行なわれていないため、これが「Handle With Care」のステージ初演であり、その後もジョージ追悼コンサートで一度演奏されたのみのレアなライブ・テイクである。続いて「While My Guitar Gently Weeps」である。聞きどころは何といってもプリンスである。後半に素晴らしく熱いギター・ソロを長く演奏しているのである。クラプトンとはまた異なるプリンスのギター・テクニックが炸裂したパフォーマンスはこの日の白眉である。あまりの陶酔ぶりにダーニがプリンスを見て笑っているのが映像でも確認できる。この曲はプリンスの独壇場といっても良い。 【2015年 リンゴ・スター】 そして最後に殿堂入りしたのはリンゴであった。受賞の順番がそのままビートルズへの貢献度に沿っているのは仕方ないだろう。2015年にしてようやくリンゴも殿堂入りメンバーの仲間入りをすることになった。残念ながらリンゴのソロ・キャリアはセールス的に苦戦しているようだが、オールスター・バンドを率いての長年に渡るライブ活動は日本を含む世界中の人たちを楽しませてくれている。冒頭ではデイヴグロールやジムケルトナー、そしてポール・バンドのエイブといったドラマーたちがリンゴのドラム・プレイのユニークさを解説している映像が流される。プレゼンターとして登場するのはポールである。ツアーを重ねて10数年経過し、年齢こそ経たものの声のひとつひとつにエネルギーが漲る姿は、それまでの殿堂と比べて最も若々しいと言えるかもしれない。ジョンの時は出会いから共にした想い出を語っていたポールだが、今回リンゴの場合はリンゴのユーモアあふれる人柄に重点を置いて語っている。スピーチの途中でピート・ベストの名前まで出るのには驚く。ポールの機知に富んだスピーチは場を沸かせる。そして登壇したリンゴがスピーチを行なう。スピーチの途中で時計がなるトラブルがあり、それを更にユーモアで返しているのが微笑ましい。客席には体調が思わしくないと伝えられたヨーコの姿も見える。そして受賞記念コンサートである。リンゴはドラムを叩きながら「Boys」で開幕する。続いてリンゴはステージ前面に出てきてマイクを持ちジョーウォルシュを紹介する。一緒にツアーをまわっている気心知れた仲間である。曲は「明日への願い」。こういっては何だがレパートリーの少ないリンゴの数少ないヒット曲のひとつで、女性コーラス、ブラス・セクションなど重厚な演奏が聴きどころである。そしてハイライトはここからである。ベースでポールが登場するのである。ステージ上で抱き合う二人。ビートルズもとうとうこの二人になってしまった。その残った二人がこうしてステージに今でも立っているというのが不思議な感覚である。半世紀以上前の白黒写真の若者が、ここで歌っている二人なのである。曲は「With A Little Help From My Friends」である。背後のスクリーンにはサージェント期のビートルズの写真が投影され、ステージには大勢のミュージシャンが楽しそうにコーラスを加えている。続いて一転してアップテンポになり「彼氏になりたい」である。ポールは引き続きベースを弾きながらビートルズ時代と同じようにコーラスを入れている。繰り返すが、昭和41年武道館で演奏していた同じ人物が同じ曲を50年後にこうして同じように演奏しているのである。しかも異なるのは、長いギター・ソロの後、いつの間にかドラムに移動したリンゴに代わってポールがボーカルを引き継いで歌うのである。歌いまわしはかなりアレンジしているもので、「彼氏になりたい」を前半リンゴ、後半ポールというボーカル・リレーで演奏されている。余談になるが、この後にポールは自身のソロ・ツアーでこの「彼氏になりたい」をセットリストに加えているのも、おそらくこの時の演奏が布石になったのではと思われる。本作にはこの時の授賞式及び記念コンサートを完全収録している。のみならずバックステージの記者会見やリハーサルの様子なども収録している。 【ROCK AND ROLL HALL OF FAME】 本作は、1988年ビートルズとしての殿堂入りから、2015年リンゴの殿堂入りまで、それぞれの受賞式と受賞記念コンサートを完全収録したタイトルである。単なる授賞式にとどまらず、その背後では様々な人間関係やプロジェクトが動くきっかけとなった重要なイベントを体系的に収録した初めてのタイトルとなる。「We Are The World」がレコーディングされたのが、ちょうどグラミー賞で各ミュージシャンが一同に会した一瞬に行なわれたように、このようなメンバーが集まる機会というのはそう多くはない。ましてポールとヨーコがプライベートで会うとは考えられない。このような機会があったからこそ、アンソロジー始め様々なプロジェクトが進行したと考えるべきである。単純に演奏だけでなく、それぞれの表情、スピーチの内容など、背景を鑑みながら見ればいずれも感慨深いものがある。ビートルズは既に歴史となっているが、その中でも重要なポイントとなっているのがこのロックの殿堂である。ぜひ本作で堪能して頂きたい。また最後になるが、ボーナス映像として1986年エルヴィス・プレスリーが受賞した際、プレゼンターとしてジュリアンとショーンが登場した時の映像を収録している。まだ10歳のショーンの肩を抱いて少年のあどけなさが残る20代のジュリアンの姿を見る事が出来る。 DVO DISC ONE 1988 INDUCTION CEREMONY New York City, January 20, 1988 VERSION 1 (Single Cam) 01. Mick Jagger inducts The Beatles 02. George Harrison, Ringo Starr, Yoko Ono, Julian & Sean accepts ALL STAR JAM 03. Introduction and Set Up 04. Twist and Shout 05. All Along The Watchtower 06. I Saw Her Standing There 07. Stand By Me 08. Stop! In The Name of Love 09. Whole Lotta Shakin’ Goin’ On - Hound Dog - Honey Hush 10. Barbara Ann 11. Born On The Bayou 12. Like A Rolling Stone 13. (I Can’t Get No) Satisfaction DVO DISC TWO VERSION 2 (Multicam) 01. Introduction 02. Beatles Videology 03. Mick Jagger inducts The Beatles 04. George Harrison, Ringo Starr, Yoko Ono, Julian & Sean accepts 05. Octopu’s Garden (instrumental) 06. George & Ringo additional thanks 07. I Want to Hold Your Hand (instrumental) ALL STAR JAM 08. Introduction and Set Up 09. Twist and Shout 10. All Along The Watchtower 11. I Saw Her Standing There 12. Stand By Me 13. Stop! In The Name of Love 14. Whole Lotta Shakin’ Goin’ On - Hound Dog - Honey Hush 15. Barbara Ann 16. Born On The Bayo 17. Like A Rolling Stone 18. (I Can’t Get No) Satisfaction DVO DISC THREE 1994 INDUCTION CEREMONY New York City, January 19, 1994 01. Paul McCartney induction speech 02. Yoko Ono acceptation speech 03. Backstage Q&A with Paul and Yoko(Raw Footage) 1999 INDUCTION CEREMONY New York City, March 15, 1999 04. Neil Young induction speech 05. Paul Videology 06. Paul acceptation speech (edited) 07. Blue Suede Shoes 08. What'd I Say 09. Let It Be 10. Paul unedited and uncensored acceptation speech 2004 INDUCTION CEREMONY New York City, March 15, 2004 11. Introduction 12. George Videology 13. Jeff Lynne & Tom Petty induction speech 14. Olivia & Dhani Harrison acceptation speech 15. Handle with Care 16. While My Guitar Gently Weeps 2015 INDUCTION CEREMONY Cleveland, OH April 18, 2015 17. Ringo tells story for Hall of Fame 18. Red Carpet arrival 19. Introduction 20. Video about Ringo 21. Paul McCartney induction speech 22. Ringo Starr acceptation speech 23. Boys (with Green Day 24. It Don’t Come Easy (with Joe Walsh) 25. With A Little Help From My Friends (with Paul McCartney) 26. I Wanna Be Your Man (with Paul McCartney) 27. Backstage Q&A with Ringo 28. Behind the Scenes & Rehearsals 29. Ringo Speech thanks to Barbara (unbroadcasted) 1986 INDUCTION CEREMONY New York City, January 23, 1986 30. Julian & Sean Lennon presents award