日本公演も決まり、ますます絶好調にかっ飛ばしている“THE GREATEST HITS TOUR 2016”の最新ライヴアルバムの登場です。これまで何度も書いてきた通り、今回のツアーは前回のDEEP PURPLE大盤振る舞いとは打って変わり、ゲフィン3部作『SLIDE IT IN』『SERPENCE ALBUS』『SLIP OF THE TONGUE』に特化。黄金期の“メタル・スネイク時代”をこれでもか!と聴かせてくれるツアーです。各地で大ヒット曲ばかりの豪華ショウを繰り広げているわけですが、その録音事情も希に見る豊作ぶり。当店では、これまでも4作の名録音をレポートしてきましたが、そのラインナップにまた1本の傑作が加わることになりました。それが本作、「2016年6月28日ルイストン公演」のオーディエンス・アルバムです。このツアーからの5作目でもありますので、日程で整理してみましょう。 ・6月8日:インディアナポリス 『INDIANAPOLIS 2016』・6月10日:ハモンド・6月11日:ノースフィールド・6月14日:シンシナティ・6月15日:ヒューバー・ハイツ・6月17日:デトロイト・6月18日:ラマ 『GREATEST HITS IN RAMA 2016』・6月20日:ブルックリン 『KINGS OF THE NIGHT: BROOKLYN 2016』・6月21日:モントクレア ・6月23日:ハンプトン・ビーチ・6月25日:ボストン・6月26日:ポートランド 『POTLAND 2016』・6月28日:ルイストン →【本作】 上記は、第1弾の『INDIANAPOLIS 2016(Shades 652)』から本作までの日程をまとめたもの。わずか20日間にこれだけのライヴをこなす精力ぶりも大したものですが、その短い間に5本もの強力録音が登場したわけです。勢いも録音も波に乗っているWHITESNAKEですが、そのパフォーマンスも力強い。大ヒット曲ばかりのセットリストは会場にイケイケ(死語)ムードを作りだし、観客の熱狂がフィードバックしたバンドもはち切れんばかりのパワーを見せつけるのです。その渦の中心にあって、すべてを牽引しているのは誰あろうデイヴィッド・カヴァデールその人。今年65歳を迎えようという年齢なわけですが、鋭いシャウトは一層パワフルで会場もバンドもグイグイと引っ張る。同世代のミュージシャン達がテンポも落としたまったりステージを聴かせる中、この人だけは絶対にパワーダウンしない。キーこそ下げてはいますが、むしろ“ロックは力”を体現し続けるために下げているのではないかと思えるほどです。もちろん、パワー押しだけではないからこそのカヴァデール。好不調の波が激しい人ではありますが、この日はセットの要所に配された「The Deeper The Love」「Is This Love」「Here I Go Again」では天から授かった響きも聴かせ、切々とした「Sailing Ships」から重厚な「Judgment Day」への流れも実にダイナミックに歌いこなします。そんな“永遠の情熱男”を支えるバックメンも、過去屈指の凄腕ぞろい。歴代ギター最高はジョン・サイクスで、最強のテクニシャンはスティーヴ・ヴァイでしょうが、彼らはスタンドプレーの凄味でこそ光っていた。それに対し、本作のレブ・ビーチ&ジョエル・ホークストラは、コンビネーションで歴代No.1の輝きに満ちている。似て非なるスタイルの相性と豊富な引き出しのバラエティが見事に組み合わさり、“メタル・スネイク”の名曲群をカラフルに染め変えまくるのです。……と、肝心なことを書き忘れておりました。そんな機微がビビッドに伝わる本作のサウンドも見事なのです。ここまでの5作でハイエストクオリティだった『POTLAND 2016』にはやや譲るものの、極太の楽音・歌声が力強く轟く。しかも、そのディテールもしっかりと分かるほどにクリア。さらには会場の熱狂もリアルに分かりつつ、その熱狂よりも演奏の方が前にグイッと出てくるバランスも素晴らしいのです。いつものWHITESNAKEなら、ツアーが進むほどに声が荒れて聴きづらくなるのですが、今回はむしろ調子を上げてきている。この好調が来たる来日公演まで続いてくれることを祈りつつ、リアルタイムにツアーを追っていけるライヴアルバムです。初めて“THE GREATEST HITS TOUR 2016”に触れる方には、まず最高音質の『POTLAND 2016』をこそお勧めいたしますが、本作はその“次のライヴ”にして、“演奏クリア&激アル熱狂”の名録音。迫り来る白蛇の毒牙を存分に味わい尽くしてください! Live at Artpark, Lewiston, NY. USA 28th June 2016 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(49:24) 1. Intro 2. Bad Boys 3. Slide It In 4. Love Ain't No Stranger 5. The Deeper The Love 6. Fool For Your Loving 7. Sailing Ships 8. Judgment Day 9. Reb Beach Guitar Solo 10. Joel Hoekstra Guitar Solo 11. Slow An' Easy Disc 2(39:33) 1. Bass Solo 2. Crying In The Rain 3. Drum Solo/Crying In The Rain(reprise) 4. Is This Love 5. Give Me All Your Love 6. Here I Go Again 7. Still Of The Night David Coverdale - Vocal Joel Hoekstra - Guitar Reb Beach - Guitar Michael Devin – Bass Tommy Aldridge - Drums Michele Luppi – Keyboards