1968年のジェフ・ベック・グループはファースト・アルバム『TRUTH』のリリースと併せて人気を確固なものとすべく、下半期に精力的なアメリカ・ツアーを行いました。その結果として68年という時代の割に意外なほど多くの良質なオーディエンス録音が残されており、中でも一番クオリティの高い音源という事で今から10年以上前に『DOIN' THAT CRAZY THING』という名盤がリリース。なおかつ入手困難となって久しいアイテムでもありました。この名盤の制作にも携わっていた「GRAF ZEPPELIN」マスタリングによって生まれ変わったアッパー版として現在も大好評発売中なのが『DALLAS 1968』。そんなダラスと双璧を成す名盤として、やはり十年以上前に大名盤とされてきたのが『ROCK MY PLIMSOUL』。11月のデトロイトを素晴らしいビンテージ・オーディエンスで捉えた名録音だったのですが、これが『DOIN' THAT~』以上に入手困難となって久しく、また第一期ジェフ・ベック・グループらしいカバー・デザインと相まってマニアに高く評価された名盤でした。それが『DALLAS 1968』の登場によって、ぜひこちらも新たにブラッシュアップさせてもらえないだろうか…そんな声が押し寄せている矢先に届けられたベックの早すぎる訃報。この名音源を再リリースしないのでどうする?というタイミングへと流れが変わってしまったのです。音質的にはJBG#1の68年オーディエンス唯一のステレオ録音オーディエンスだったダラスの広がりやオンな音像には及ばないものの、代わりにモノラルならではの骨太なビンテージ・オーディエンスたるデトロイトも実に聞きやすい。だからこそ「GRAF ZEPPELIN」マスタリングによる再リリースは…と始めたいところなのですが『ROCK MY PLIMSOUL』のリリース時に流通していた元音源は流通の段階でほんのりとリバーブ系のエフェクトが付け加えられていたのです。これはモノラルなビンテージ・オーディエンスに音の広がりを出そうとして施された処理であったことは明白。幸いにも現在はこうした小細工のないフラットなバージョンが流通。よって今回のリリースは既発と同じ音源からの「リマスター」ではなく、一から音源を見直した上でのリリースとなる完全な「アッパー版」としてのリリースが実現する運びと相成りました。おまけに『ROCK MY PLIMSOUL』に使われたコピーには微弱ながらパチパチというノイズの入る個所が散見されたのですが、今回のバージョンではそうした雑音も皆無。先に触れたようにダラスほど音像は近くないのですが、代わりに非常に見晴らしが良くてクリアー、それでいてモノラルならではのどっしりとした質感が今回のリリースで大幅に向上。この時期のバンドの激アツな演奏ぶりをよりリアルに伝えてくれるアッパー版へと進化を遂げたのです。そして何と言っても秋のアメリカ・ツアーはニッキー・ホプキンスの加入という大きな変化が起きた時期。この日もオープニングの「Shapes Of Things」からして彼のピアノの絶大な存在感が伝わってくる。その重厚な鍵盤さばきを捉えてくれているのも本音源の素晴らしさ。それにグループ自体が7月のダラスからセットリストを進化させており、やはりニッキーのピアノを活かしたR&Bカバー「Natural Woman」をインストにて演奏するなど、ベックが彼やロッド・スチュワートの力を借りて創ろうとしていた「ロックとR&Bを融合させた新たな音楽」が一気に洗練されたサウンドを放っている。逆に言えばJBG流のハードロック・サウンドが確立されるのは次作『BECK-OLA』であり、そんな過度期に重要な役割を果たしたのがニッキーのピアノであることは疑いようがありません。何よりベック自身が彼のピアノ・プレイに触発される形でサイケ色を残していた7月のダラスのプレイから大きく進化を遂げており、この新たなロック・サウンドにR&Bシンガーであろうとしたロッドが絡むという68年型JBGならではのステージをこの音源が余すところなく捉えてくれているのではないでしょうか。そんな再発の待ち望まれていた68年JBGの傑作ビンテージ・オーディエンスが「GRAF ZEPPELIN」マスタリングによって遂に生まれ変わった決定版として登場。正にこの時期の彼らでしか成しえなかった重厚なロック・サウンドをモノラルの骨太サウンドでじっくりと、それこそスピーカーから爆音にてお楽しみください!(補足)★68年11月1日、2日、3日連続公演の三日目★同年7月5日-6日にもDETROIT公演あり(リマスター・メモ)★流通する元素材からの新規マスタリング★位相修正のうえMono化。元々モノラル音源ですが、既発音源ではリバーブのような残響処理が加えられているので、この方が聴きやすい(はず)★ピッチ修正★パチパチ頻繁に入るプチノイズをピポイントで削除。俄然聴きやすさが増しています★所々音ヨレ補正 Live at Grande Ballroom, Detroit, MI, USA 3rd November 1968 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(UPGRADE) (59:10) 01. Shapes Of Things 02. You Shook Me 03. Let Me Love You 04. Blues Deluxe 05. Jeff's Boogie 06. Rock My Plimsoul 07. Natural Woman 08. Rice Pudding 09. Sweet Little Angel 10. I Ain't Superstitious Jeff Beck - Guitar Rod Stewart - Vocals Nicky Hopkins - Keyboards Ron Wood - Bass Mick Waller - Drums