盟友フィル・ライノットと最後の日々を過ごした1985年のゲイリー・ムーア。その貴重な現場を伝えるライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1985年9月23日マンチェスター公演」。そのオーディエンス録音です。1979年7月にTHIN LIZZYを脱退したゲイリー・ムーアは、メディアを通じてフィル・ライノットと舌戦を展開。盟友2人はしばらくの間、疎遠となりました。それが変わったのがデュエット・シングル『Out In The Fields』。故郷をテーマにした名曲で再共演を果たした2人は、ステージでも何度か共演。本作のマンチェスター公演もその1つなのです。では、2人共演は何度実現したのか。良い機会でもありますので、「THIN LIZZY以降のライヴ共演」を整理してみましょう。1984年《11月『Out In The Fields』セッション》・12月12日:マーキー公演・12月17日:ベルファスト公演 ←※公式ボートラ等・12月18日:ベルファスト公演 ←※公式EMERALD AISLES・12月19日+20日:ダブリン公演●1985年・5月ー6月:TV出演 ←※LIVE ON TV 198・9月23日:マンチャスター公演 ←★本作★・9月27日『LONDON 1985 1ST NIGHT』・9月28日『LAST NIGHT WITH PHIL LYNOTT』《1986年1月:フィル・ライノット死去 これがゲイリー&フィルの再共演。シングル『Out In The Fields』プロモーションのためのTV共演もありましたが、基本的にはゲイリーのソロ公演に数曲ゲスト参加するスタイルでした。大きく2つに分けられ、最初は『Out In The Fields』セッションの直後に行われたアイルランド・ツアー。公式映像『EMERALD AISLES』ともなった、あのツアーです。上記のように3ヶ所・5公演が行われたのですが、どのショウで共演があったのかは資料によって異なる。5公演全部という資料もありますが、確実なのはオフィシャル作品にも残された「12月17日/18日」のベルファスト2公演です。もう1つの共演となったのは、翌1985年の英国ツアー。16公演中3公演でフィルがゲスト参加したのです。そのうちハマースミス2公演は『LONDON 1985 1ST NIGHT』と『LAST NIGHT WITH PHIL LYNOTT』としてご紹介しており、本作のマンチェスター公演は最後に残った1回。つまり、本作を持ってゲイリー/フィルの再共演コレクションが完成するわけです。前置きが長くなりましたが、そんなショウを真空パックした本作は、最近公開された最新マスターでもある。ドイツの名録音家として名を上げてきた「GMan」コレクションから発掘されたのです。そのサウンドは、マスター鮮度も瑞々しいヴィンテージ・オーディエンス。プレス化も実現した名門キニーの秘宝『LONDON 1985 1ST NIGHT』とは比べられませんが、だからと言ってダメ録音でもない。距離感は否めないものの、その空間を貫く芯は力強く、特にヴォーカルは歌詞の一語一語までしっかりと分かる。肝心要のギターも素晴らしく、深く鋭く泣くチョーキングも変幻自在なヴィヴラートも克明に伝わるのです。しかも、本作はその新発掘マスターの最高峰を更新するもの。ネット原音は過去最高ではあったものの、それでもピッチがかなり速く狂っており、低音も痩せてスポイルされていました。本作は、そうした欠点を丁寧にトリートメント。無闇な音圧稼ぎなどは行わず、原音の持っていた可能性を最大限に引き出しました。そんなヴィンテージ・サウンドで画かれるのは、脂の乗った”ハードロッキン・ゲイリー”が暴れるフルショウ。前述のようにフィルが参加するのは数曲止まりですので、そこに着目しつつフルセットを整理しておきましょう。ラン・フォー・カヴァー(6曲)・Run For Cover/Reach For The Sky/Nothing To Lose/Empty Rooms/All Messed Up/Out In The Fields(★)クラシックス(9曲)・大いなる野望:Cold Hearted/End Of The World/Rockin' Every Night・ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー:Murder In The Skies/Shapes Of Things/Victims Of The Future・その他:So Far Away/Back On The Streets/Parisienne Walkways(★)※注:「★」印はフィル・ライノットがゲスト参加した曲。本作の後、フィルはハマースミス2公演でもゲスト参加。翌1986年の年明け早々に帰らぬ人となりました。本作を起点にした『LONDON 1985 1ST NIGHT』『LAST NIGHT WITH PHIL LYNOTT』の三部作は、貴重なゲイリー/フィル共演のコレクションというだけでなく、英雄フィル・ライノット最後の3公演でもあるのです。アイリッシュHRの盟友2人が音を重ね合った最終章。盟友フィル・ライノットとの再共演が実現した「1985年9月23日マンチェスター公演」のオーディエンス録音。ドイツの名録音家としても知られる「GMan」コレクションから発掘された新マスターで、瑞々しい鮮度の空気感を力強い芯が貫き、歌詞の一語一語まで伝わるヴォーカルや、深く泣くチョーキングや変幻自在なヴィヴラートのニュアンスも克明なギターも素晴らしい。『LONDON 1985 1ST NIGHT』『LAST NIGHT WITH PHIL LYNOTT』との三部作で、貴重なゲイリー/フィルの再共演コレクションが完成します。Manchester Apollo, Manchester, UK 23rd September 1985 TRULY AMAZING SOUND Disc:1 (53:34) 1. Intro 2. Run for Cover 3. Reach for the Sky 4. Murder in the Skies 5. Shapes of Things 6. Guitar Solo 7. Cold Hearted 8. End of the World 9. Nothing to Lose 10. So Far Away 11. Empty Rooms Disc:2 (41:24) 1. Victims of the Future 2. All Messed Up 3. Rockin' Every Night 4. Back on the Streets 5. Out in the Fields (with Phil Lynott) 6. Parisienne Walkways (with Phil Lynott) Gary Moore - Guitar & Vocal Bob Daisley - Bass Neil Carter - Keyboards, Guita, Vocal Gary Ferguson - Drums