1970年代のジャクソン・ブラウンはアルバム『THE PRETENDER』までプロモーションの手段としてラジオ・ライブを積極的に活用しており、各年代でステレオ・サウンドボードのライブ音源が存在する恵まれた状況となっています。70年代の最高傑作との誉れ高き『LATE FOR THE SKY』のリリース後に行われたライブ活動である75年に関しては彼の歴代ラジオ放送の中でもっとも有名なメイン・ポイントでのアコースティック・ショーが挙げられるかと思われますが、その半年前にもニューヨークのカルデローネ・コンサートホールでのショーがラジオ放送されていたのです。あのメイン・ポイントがデヴィッド・リンドレーとのアコースティック・デュオでのライブだったのに対し、こちらはフルバンドを引き連れた『LATE FOR~』期のステレオ・サウンドボード録音であるという点も価値が高い。とはいえミキシングできっちり整理されたオフィシャルのライブアルバムと違い、いかにもビンテージなステレオのラジオ放送といった趣がまた味わい深い。それでいてステレオらしく各楽器やバンドメンバーのハーモニーワークがクリアーで生々しいのもラジオ放送ならでは。にもかかわらず本放送はアイテムが極端に少ない。1990年代の名盤とされる『I’M ALIVE』リリースによって久しぶりにジャクソンが脚光を浴びた94年に彼のライブ音源アイテムが多くリリースされる状況で登場した『ROCK ME ON THE WATER』というアイテムしか存在しません。懐かしのDYNAMITE STUDIOがリリースした同盤は会場名やデータの表記があいまいで、今となってはマニアですらアイテムの存在すら忘れ去れてしまったのでは。これほど高音質なラジオ放送としては意外な状況かと。そんな忘れ去られたステレオ・サウンドボードのラジオ放送を今回はネット上に現れた最新バージョンにて収録。非常にナチュラル、いい意味のビンテージ感が魅力なだけでなく、prof. goodyが公開に際してピッチ補正やノイズ除去などを行ってより聞きやすい状態となっています。それでいて彼としても音源自体のマイルドな味わいはまったく手を付ける必要がないと判断したのがエライ。現在ジャクソンの70年代ラジオ放送はグレーゾーンCDが氾濫していますが、そうしたレーベルすら見過ごしていた『LATE FOR~』期のフルバンド・ライブ。どうしてこれほどの内容と音質を誇るラジオ放送をグレーゾーン界がリリースしないのか不思議でなりません。当然70年代のクラシック連発のマニアにはたまらないセットリストとなっており、それを盟友リンドレーを始めとしたバンドメンバーがイキイキと演奏する。ラジオ放送ながらジャクソンも非常にくつろいだ調子でステージに上がっており、随所でユーモアにあふれたMCを聞かせてくれます。そしてライブ終盤で「These Days」から激しい「The Road And The Sky」へと移る場面などはこの時期ならでは。あの定番メイン・ポイントは正に対をなすフルバンドでの75年の優良ラジオ放送ステレオ・サウンドボード録音をじっくりとお楽しみください!Calderone Concert Hall, Hempstead, New York, USA 19th March 1975 STEREO SBD Disc 1(35:50) 01. Jamaica Say You Will 02. Rock Me On The Water 03. Come All Ye Fair And Tender Ladies 04. Take It Easy 05. Our Lady Of The Well 06. Song For Adam 07. Ready Or Not Disc 2(45:30) 01. Walking Slow 02. Fountain Of Sorrow 03. For Everyman 04. Doctor My Eyes 05. These Days 06. The Road And The Sky 07. Before The Deluge Jackson Browne - guitar, piano, lead vocals David Lindley - guitar, fiddle, lap steel guitar Dennis Kovarik - bass Larry Zack - drums Wayne Cook - piano Herb Pederson - guitar, banjo, backing vocals Chris Smith - pedal steel guitar, backing vocals STEREO SOUNDBOARD RECORDING